TechTech~テクテク~No.27
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実験装置やコンピュータに向かうばかりが研究じゃない。アリゾナのクレーターやグランドキャニオンを見に行ったり、中東やコーカサスのキリスト教建築を調査したり…。世界中が、東工大生の研究フィールドだ。世界が学びのフィールドだ!世界世界世界世世界世界世界世界世界ががががががが学び学び学び学学び学び学び学び学びののののののフィフィフィフィフフィフィフィーーールドルドルドドルドルドルドドドルーだ!だだ!だ!だ!だ!だ!だ! 聞き慣れないかもしれないが、「巡検」とはいろいろなところを調べて回ること。理学部地球惑星科学科では1992年の設立以来、主に学部2年生を対象として、毎年この海外地質観察旅行を実施している。「地球で起こる自然現象、地質現象には、日本で見られないものもたくさんある。それを自分の目で確かめることが、この活動の最大の目的」と言うのは、地惑巡検を担当する上野雄一郎准教授だ。 インターネットを通じて様々な情報が手に入る時代だが、やはり本物の地球は圧倒的。流れ出る溶岩を間近で見たり、隕石衝突でできたクレーターの縁に立ったりすると、文献や写真だけでの学習、研究が、いかに不十分であるかよくわかる。 これまで訪れたのは、ヨセミテ渓谷やデスバレーといったアメリカ本土、ハワイ島、それにニュージーランド。2014年の目的地のひとつだったグランドキャニオンでは、ペルム紀の石灰岩からカンブリア紀の砂泥層まで、古生代3億年分の地層の変化を一気に見学するトレッキングも行った。 地球の多様な姿を直に観察する地惑巡検。そのもうひとつの狙いが、学生たちのグローバルな視点の養成だ。「そこで渡航先では現地の大学を訪問し、第一線にいる研究者から講義を受けるようにしています」と上野准教授。「その土地で研究をしている専門家や学生たちと直接交流できるのは貴重な機会。ドキドキしながら英語で質問したりするのもいい経験で、たいていの学生が帰国すると、『もっと英語を勉強しなきゃ』と言いますね(笑)」。 一方でこの観察旅行では、単なる「おでかけ」ではなく、事前学習に力を入れているのもポイントで、学生たちは海外の論文などで現地の状況を徹底的に調査。それをもとに「巡検のしおり」を作成するが、そのボリュームはなんとA4で100ページ以上にも及ぶ。そうした十分な下調べがあるからこそ、現地で目の当たりにした光景が、いっそうのインパクトを与えてくれるのである。 「火山がつくり出した地形を前に、みんなと議論でき、理解が深まった」「どうやってこの断崖絶壁ができたのか、その場で考えられたのは大きな収穫」とは参加学生の声。初めて対面する自然をじっくり観察し、とことん考えることで、わからなかったことが理解でき、同時に新たな疑問も湧いてくる─。学ぶことの楽しさ、そして奥深さをまさに肌で感じさせてくれるのが、地惑巡検なのだ。地球科学を生で感じる地惑巡検左:グランドキャニオンで記念撮影。眼下には左:グランドキャニオンで記念撮影。眼下にはコロラド川が流れる。/右上:カリフォルニアコロラド川が流れる。/右上:カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて、Kevin McKeegan大学ロサンゼルス校にてKevinMcKeegan教授の講義。手前の装置は、宇宙探査ミッショ教授の講義手前の装置は宇宙探査ミシンで使われた分析器。/右下:隕石衝突によってできたアリゾナ州のメテオクレーター。直径はてできたアリゾナ州のメテオクレタ。直径は1.2~1.5kmほど、深さは約170m。12~15kmほど、深さは約170m。大学院理工学研究科 地球惑星科学専攻 上野 雄一郎 准教授Tech Tech

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