TechTech~テクテク~No.28
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を創る先輩がいる。今志望大学決定時は文系か理系かで悩みながらも建築を学ぶため、東工大に進学。そこで建築構造の面白さに目覚めた小原泉さん。総合建設会社・フジタの研究員として、主に鉄骨造の建築構造の研究や、装置の設計・開発、コンサルティングに従事する現在までの歩みを聞きました。 建築構造の専門家として、制振構造の研究や耐震部材の開発に携わっています。2014年にリリースした座屈拘束(ざくつこうそく)ブレースは、その成果のひとつ。計画から実証実験、製品化に向けた設計までを担当しました。ブレースとは、建物の耐震部材として斜めに設置する細長い部材のことで、軸方向の圧縮に対し、たわんで壊れる現象(座屈)を起こりにくく(拘束)したものが、座屈拘束ブレースです。 今回の開発で目指したのは、そんな座屈拘束ブレースを、低コストで製造でき、建設現場でも施工しやすい、より軽い部材に進化させること。耐震機能はもちろん、収益性も兼ね備えたブレースとするために、素材や形状など、様々な視点から検証を重ねました。仮説を立て、実験で確かめながら、設計を通じて具現化していく一連のプロセスは研究の醍醐味ですが、一度実験が始まれば、2、3カ月は実験棟に通い詰めになります。それでも、思いどおりの結果が得られた瞬間には苦労が吹き飛んでしまいました。 すでに病院やビル、大型倉庫などに、このブレースが採用されています。建物はこの先50年、60年先という長いスパンで受け継がれていくもの。耐震技術を前に進めていくことが、建物の安全を支え、建物をもっと強く、 物理が苦手で、理工系大学への進学には不安もありました。最終的に理系を選んだのは、職業へ直結している学問領域だから。なかでも理論と感性が融合している建築学に惹かれました。物理が苦手。理系の選択には不安も進路構造力学は基礎理論が確立されている分野なので、発展的な技術を学ぶときにも、大学時代の教科書が活躍します。基礎を確認するにはこれが一番。50年以上前に著された本もあり、ほかの研究員も同じ本を持っていたりします。今でも大活躍する、大学時代の教科書バイブル物理が苦手。大学時代の教科書小お原はら 泉いずみ株式会社フジタ 技術センター建築第二研究部12Tech Tech
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