TechTech~テクテク~No.28
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芸術に触れ、仲間と過ごす大切な時間デザインや文学に触れるのも好き。高校時代はよく図書室に通っていました。大学では「コールクライネス」という合唱サークルに所属。他大学のメンバーも多く、幅広い友人関係を築けました。今でも交流が続く仲間たちです。趣味・部活この先何十年も人々を守っていく。そう考えると、感慨深いものがあります。 建築といえばまず「デザイン」。高校生の頃はそんなふうに考えていました。東工大に進み、建築構造の知識を深めるうちに、それまでの見方ががらりと変わりました。見慣れていた建物に、まったく異なる表情があることに気づいたのです。 「構造」は建物の基礎に関わるだけに、建物のデザインや設計のあり方そのものを左右する力を持っています。構造に関する技術を進歩させることができれば、建物の可能性をもっと広げていける分野なんです。 例えば、100年前の姿を再現したJR東京駅丸の内駅舎。免震装置の発達がなければ保存・復元工事は実現しなかったでしょう。大学生のときに感銘を受けたのは、国立代々木競技場の体育館でした。屋根が斜めにつり下げられた一風変わった意匠性の高い建物に見えます。けれどその独創的な造形の中に、高度な構造計算が反映され「構造」という異なる角度から光を当てるている。単にデザイン性を高めたのではなく、屋根にかかる負荷が均衡するよう、力の伝わり方を非常にうまくコントロールしているんです。 あらゆる建物に使用できる装置やシステムの開発を担うことで、より多くの建物をもっと強くすることができる、さらには建物をもっと“自由”にすることができる。建築構造の研究を選んだのは、そこに可能性を感じたからだと思います。 約1年の産休・育休を経て、職場復帰しました。研究職を続けることに迷いはありませんでしたが、やはり子育ては大仕事。育休明けは、研究に時間を取れなくなることへの不安もありました。比較的スムーズに研究現場に戻れたのは、大学時代から身につけてきた構造力学や設計などの知識の蓄積のおかげです。地道に積み重ねてきた基礎的な力が、復職を助けてくれました。 私の場合、はじめから建築構造の専門家を目指していたわけではありません。むしろ高校生の頃は物理が大の苦手で、理工系大学に進学するかどうかを悩んでいたほど。ときには心理学や言語学を学んで文系の道を探ってみたりと、回り道もしました。 けれどそのおかげで、一生をかけて取り組める研究に出会うことができたと感じています。高校生の皆さんも、少しでも興味がある分野があれば、ためらわず飛び込んでほしいと思います。予想と違ったり、思いがけない発見があったり。そんな経験を重ねるうちに、きっと進むべき道が見えてくるはずです。少しでも興味があれば、ためらわず飛び込む もっと自由に“”研究テーマは体育館などに採用される「屋根型円筒ラチスシェル」という構造の地震による応答評価。苦労したのが実験で使う模型の設計です。そのまま縮小すると実物より頑丈になってしまうので、性状を再現するのに工夫を重ねました。模型設計が難しい!屋根型円筒ラチスシェル研究テーマ様々な力のバランスが計算された設計は、ひとつひとつに無駄がなく、機能美を感じさせます。構造という角度からアプローチすると、建築の新しい魅力が見えてきます。建築の新たな見方発見技術の発展がより良い未来を生み出していく。そこに、やりがいを感じています。地震や災害に強い、快適な建物づくりを可能にして、娘を含めた子どもたちに安心・安全な社会を渡していきたいという思いが、研究の原動力です。娘を含めた次世代に安全な社会をエネルギー源模型設計が難しい!次世代に安全な社会を2006年 同大学院理工学研究科建築学専攻入学2008年 株式会社フジタ入社2014年 第一子出産を経て育児休暇取得2015年 現職に復帰2002年 東京工業大学第6類入学132015 Autumn

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