TechTech~テクテク~No.29
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今でも夢に見るスパルタ(?)青木研究室東工大に入るなり、「“勉強”は“研究”ではない」と指摘され、まさにカルチャーショック。厳しい研究室でしたが、あの3年間の踏ん張りがあって今の自分がある。恩師には感謝しきれません。恩師る図書館で関連資料を探したり、関係者から直接話を聞いたり。霊園や納骨堂でのフィールドワークもたくさん行いました。 分野を超えた研究は大変でしたが、逆に楽しさもありました。例えば建築計画学から霊園を考えると、訪問者のピーク時間帯や滞在時間、属性を調べることは基本。でも、人文系の研究ではそういったフィールドワークはまず行いませんから、データがとても珍しがられるんです。相手がよく知らない分野の知識や視点をもって、議論や情報の交換ができることは研究の醍醐味ですね。 研究の難しさよりも苦労したのは、周囲に理解されなかったこと。大学の卒論では当時の担当教授から「お墓の研究をどう指導したらよいかわからない」と言われました(苦笑)。その後、紆余曲折を経て東工大の博士課程へ進むことに。妙なテーマを抱えた変わり者を受け入れてくださった青木義次教授と、当時は助手で現在は東工大の教授になられた大佛俊泰先生からご指導いただけたのは、今でも幸運なことであったと思っています。「墳墓取得希望世帯の特性を考慮した墓地計画に関する研究」という論文で無事、博士(工学)の学位を取得しました。 お墓研究はかれこれ20年以上に及びますが、仕事のキャリアも実は同じくらいになります。学生時代、研究の一環で関係者にお話を聞いているうちに、調査依頼を受けたり業界誌へ寄稿するようになったのです。修士課程の頃にもなると墓地の計画や許可のアドバイスまで行うように。今の協会に入ったのも、当時の縁がきっかけです。 雪の玉を転がしているようだ、と思うことがあります。はじめは小さな雪の種でも、転がしているうちにどんどん大きくなっていく。 葬祭関連の業界って、実はすごく分断されているんです。墓地や納骨堂は厚生労働省の管轄ですが、そこに建てるお墓(墓石)などは経済産業省の日用品室、葬儀となると同じ経産省でもサービス政策課だったり、商取引・消費経済政策課だったりといったようにバラバラ。葬儀会社は墓石のことを知らないし、霊園も他の霊園についてはまったく知らない。だから、私のように全体を見渡して考える立場はニーズにマッチしているのかも知れません。理工系と文系の間を行き来していた学生時代のように、今も葬祭関連の業界間で雪を転がし続けています。これにはやりがいを感じますね。もし誰かがすでに、この分断されている業界をつなぎ合わせる活動を始めていたら、今の私はなかったでしょう。 どこにもない自分だけの現場経験を持つことは、将来への大きな強みになります。それを養えるのは、フットワークの軽い学生の特権。分野にとらわれない「自分ならではの研究作法」を見つけてください。自分らしい研究を仕事道具昔は夜中に仕事が行き詰まると、町田の自宅から御殿場にある大霊園まで車を飛ばしていました。別に霊園に行きたいわけではないのですが(笑)、目的地にちょうどいい距離感で。けれど、今でも近所の墓地によく散歩に行くので、やっぱり霊園が好きなのかもしれません。煮詰まったときに向かう先は霊園息抜きTPPでサービス業の市場開放が進めば、海外の葬儀会社が日本に進出することも十分考えられます。今後の新しい挑戦としては、ぜひグローバル化に取り組んでいきたいですね。まずは苦手な英語の克服からですが…(笑)お墓にもグローバル化の波が来る?研究テーマグローバル化の「自分だけにしかない経験」が、将来の糧になるこれまで多くの本を書いてきましたが、自分の仕事がこうして形に残ることで、人にも自分が何をしている人間なのか伝えやすくなり著書が名刺代わり名刺代わります。特に新書はある種の“手軽さ”がありますので、様々な方との交流の場で活躍しています。1995年墓地関連のコンサルタント組織を設立1997年全日本墓園協会 主任研究員就任1993年東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻 博士後期課程 入学2001年日本環境斎苑協会 常任理事就任132016 Spring

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