TechTech~テクテク~No.29
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熱による新しい発電を研究高温での化学反応を利用した発電方法の研究をしています。3種の異なる性質を持つ試料を接合する界面制御が難しく、海外の文献なども参照しながら試行錯誤しています。地球環境問題に貢献できるやりがい環境浄化やエネルギー問題に貢献できる研究がしたいと考えていたので非常にやりがいがあります。卒業後も、温暖化の解決に役立つ研究・開発を企業などで続けたいです。大学院理工学研究科 材料工学専攻 修士1年鶴岡 あゆみ(つるおか・あゆみ) 研究をする上で3人の先生が心がけているのは、周辺領域を幅広く勉強し、現場に目を配ることだ。例えば実験を行っている学生の話も、起きている現象の本質を掴む上で大いに参考になるという。もうひとつ共通しているのは、粘り強く前向きに研究に取り組む姿勢だ。 「苦労して材料をつくっても、狙いとは違った性質が出てしまうことは多々あります。そうしながらも研究を続けていると、『この問題について、自分が世界で初めて理解できた』と思える瞬間が来る。ただ、その瞬間は待っているだけでは訪れません。諦めなければ研究は必ず前進する、と信じて努力を続けることが大切ですね」(中島教授) ハードな研究の日々のなかで前向きな姿勢を保ち続けていられるのは、「環境を良くする」という熱い思いを共有しているから。松下准教授も、「毎日、宝探しのような試行錯誤を続けているとくじけそ環境改善への熱い思いでつながるうになることもありますが、そんなときも娘の笑顔を見ると、『この子たちが安心して暮らせる環境を』と考えて研究に力が入ります」と語ってくれた。 人間の強さの源のひとつは、科学や技術を持っていること。科学者が諦めてしまったら、人類の歩みがそこでストップしてしまう̶。中島・松下研究室のメンバーは、そんな使命感を持って環境問題に取り組んでいる。共通テーマである表面/界面科学の特徴は、ミクロな違いがマクロな機能の違いを生み出すこと。東工大の研究室という、いわばミクロな場所での研究が触媒となって、地球環境の改善というマクロなテーマに大きなインパクトを与えられるように、これからも研究は続いていく。と考え化の解大学院理工学研究科 材料工学専攻 修士1年高橋 宏和(たかはし・ひろかず)チタン製フィルタで水と油を分離チタンの表面に微細な孔をあけたメッシュ状構造の作成と、その特性の研究をしています。表面に水をはじく疎水性の物質を塗ることで、水と油を分離するフィルタをつくることもできます。ものつくりの結果を目で見られるデータの計算だけでなく、実際にものつくりをしてその特性を調べられるのが面白い。水と油がフィルタできれいに分離されるなど、実験の成功が目に見える形で現れると嬉しいですね。Student Interview固体表面を水滴が転落する速度を調べるため、独自に設計した評価装置(液滴転落挙動解析システム)。側方と上方に設置した2台のハイスピードカメラを同期させ、水滴の形状変化も測定。アルゴリズム開発も含め約2年かけて設計した。左:表面/界面とプローブ間に働く弱い力を検知するためのセットアップ装置。右:表面/界面の微細な構造や電位分布を、小さな針(プローブ)を使って計測評価する装置。2016 Spring5

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