東京工業大学 入学案内2017
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GRADUATE VOICE仕事はトライアルアンドエラーの繰り返し。また、コミュニケーション能力も欠かせません。大学では機械物理で切削工学の研究をしていました。トライアルアンドエラー(試行錯誤)の繰り返しで、実験装置の設計・製作をして実験し、理論値と実験値が違えばその原因を探る。VFX(Visual E ects)クリエーターという仕事も、最終的なイメージを想定し撮影方法を考え、つくりだし、できたものが想像していたものと違ったら、修正方法を考える。こういったアプローチの仕方は、理系的で、学生時代に行っていた実験とすごく近いものがあります。また、大切なのは監督やスタッフと共通のイメージを持つこと。この仕事では、自分の考えたことを正確にわかりやすく伝えられるコミュニケーション能力も大事になります。私は小学生の頃は遺跡の発掘が好きでしたが、歴史への興味よりも、発掘したものをどう復元するか等科学的なアプローチに関心が移っていきました。受験生の皆さんも、自分の興味が本当はどこに向いているのか。よく考えて知ることが大切だと思います。株式会社TBSテレビ 技術局 制作技術統括部 部次長(ドラマ技術統括)田中 浩征さん(大学院理工学研究科機械物理工学専攻修士課程 1992年修了)GRADUATE VOICE「生き物と向き合いなさい」との言葉を支えに、細胞の形態や運動の研究に取り組んでいます。「“生きている仕組み”を物理の視点で解明したい」と思い、生命理工学部に進学。大学院では、アメーバの運動パターンやウニの卵の細胞分裂等について研究していました。現在もその延長線上。細胞の形態や運動等に関する研究を行っており、少し前には、化学物質等を使わずに細胞の移動をコントロールする方法を発見しました。がんが転移するメカニズムの解明等が期待される領域ですね。「生き物と向き合いなさい」という浜口幸久先生の言葉が、今も研究活動の一番の支えです。生物や細胞が顕微鏡越しに見せてくれる、ささいな反応に気付けるかどうかが、いかに大切かを学びました。重要なのは、実験や観察の結果、予想が裏切られたとき。そこに何らかのメッセージを感じとることが、新たな発見への第一歩なのです。「予想と違うから、実験は失敗だ」ではもったいない。だから、後輩たちに「未熟でもいいから、ていねいに、慎重に」と言い続けています。国立研究開発法人 理化学研究所 光量子工学研究領域 先端光学素子開発チーム三好 洋美さん(大学院生命理工学研究科生物プロセス専攻博士後期課程 2006年修了、国立研究開発法人 理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 健康・病態科学研究チーム)GRADUATE VOICE「自分なら何ができるか」を徹底的に考える。その姿勢が革新を生み出すと信じています。今の私の糧になっているのは、担当教授だった小田原修先生の「やりたいことと、やれることは違う」という言葉です。それは「今やれることが、自分の目標や目的とどうつながっているか。それを徹底的に考えろ」ということ。実際、どんな研究も「やりたい」だけでは決して前に進まない。自分の持っている能力や技術で具体的に何ができるのか。今、何をすべきか。それを考え抜く姿勢を大学院で学べたことは、本当に大きかったと思います。どんな分野の研究者も、これまで世界になかったものを生み出したい、という気持ちを持っています。ただ、常に最高レベルの安全性や信頼性が求められる宇宙分野は、それが難しい領域。どうしても、うまくいった前例をベースに物事が進んでいくからです。まさにそこで活きてくるのが、大学院で身に付けた「自分なら何ができるか」という発想です。確固たる信念を持ってオリジナルを追求することこそが、革新を生み出すと信じています。国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 研究開発部門 第一研究ユニット岩佐 稔さん(大学院総合理工学研究科物質科学創造専攻博士後期課程 2007年修了)※本学広報誌『TechTech』第21号(2012年3月発行)より転載※本学広報誌『TechTech』第24号(2013年9月発行)より転載※本学広報誌『TechTech』第25号(2014年3月発行)より転載45学生サポート卒業生の肖像

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