東北大学広報誌 まなびの杜 No.79
8/12

まなびの杜 79号|07最新の研究ラインナップ首藤伸夫名誉教授が津波防災の国際賞である濱口梧陵国際賞(国土交通大臣賞)を受賞医学部・高橋揚子さんが日本学生支援機構 平成28年度優秀学生顕彰の大賞を受賞金属材料研究所・吉川彰教授と未来科学技術共同研究センター・鎌田圭准教授が第16回山崎貞一賞を受賞経済学研究科・大滝精一教授がニッポン新事業創出大賞 最優秀賞・経済産業大臣賞(支援部門)を受賞工学研究科・高橋和貴准教授が第1回AAPPS-DPP(アジア太平洋物理協会プラズマ物理部門)Young research awardを受賞11/0411/2811/2812/0712/15世界初、微小血管狭心症のバイオマーカーを同定―診断方法・治療法へ一歩前進―本学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授の研究グループは、これまで診断が困難であり、治療方法の確立が重要視されてきた「微小血管狭心症」に、血中セロトニン濃度がバイオマーカー(生体指標)となることを解明しました。この研究は、現在、診断に有効なバイオマーカーが確立されていない微小血管狭心症の、新規のバイオマーカーを同定。これにより、診断が困難であった微小血管狭心症の診断能力が向上し、未だ明らかとなっていない微小血管狭心症の病態解明、治療への応用などが期待されます。本研究成果は、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology, ESC)の学会誌 European Heart Journal 誌に掲載されました。032016/10/11世界初、ウラン化合物の強磁場スピン密度波相を発見本学金属材料研究所の青木大教授、野尻浩之教授は、CNRS(フランス国立科学研究センター)のウィリアム・クナフォ研究員(William Knafo)、CEA-Grenoble(フランス原子力庁)、茨城大学の研究者らとともに、ウラン化合物 URu2Si2の「隠れた秩序」に近接する強磁場中の磁気相がスピン密度波を形成していることを、世界で初めて発見しました。きわめて短い時間に強磁場を発生しながら中性子散乱を行うという、高度な実験技術の組み合わせによって初めて実現した成果です。30年来謎とされていたURu2Si2が示す正体不明の相転移「隠れた秩序」の解明の他、強磁場中の新奇な量子相の発見にもつながるものと期待されます。本研究成果は、英科学誌 Nature Communications に掲載されました。072016/11/02人工的に歯のエナメル質を形成―虫歯の治療や歯の再生へ応用―本学歯学研究科歯科薬理学分野の中村卓史准教授、小児発達歯科学分野の福本敏教授らは、米国国立衛生研究所との共同研究によって、歯の発生やかたちの制御を解明する過程で、エナメル質の形成のマスター遺伝子の同定と機能解析に成功しました。歯原性上皮細胞が、歯のエナメル質を形成し、歯のかたちを制御しています。転写因子であるエピプロフィンを上皮細胞に発現するマウスを作製し、その歯を解析。これにより、エピプロフィンが歯の発生過程において上皮間葉組織間で展開される相互作用に介入し、歯の象牙質形成に関与する歯原性間葉細胞を増殖させることがわかりました。本研究成果は、米国の科学雑誌 Journal of Bone and Mineral Research 電子版に掲載されました。082016/11/07次元集積化グラフェントランジスタの従来比1000倍の動作に成功本学大学院理学研究科・原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の田邉洋一助教、谷垣勝己教授と陳明偉教授は、高橋隆教授、阿尻雅文教授、伊藤良一准教授、菅原克明助教、北條大介助教、越野幹人准教授、東京大学理学系研究科と協力し、3次元ナノ多孔質グラフェンを用いたトランジスタの3次元集積化に成功しました。グラフェンの性能の実用化には、何千枚ものグラフェンの集積化が必要でした。今回開発した厚みと多孔質を持つ3次元グラフェントランジスタは、集積していない2次元グラフェンの最大1000倍の電気容量を達成。省電力の軽量・高性能なデバイス開発に寄与できます。本研究成果は、ドイツの科学雑誌 Advanced Materials オンライン版に掲載されました。042016/10/12

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る