東北大学広報誌 まなびの杜 No.80
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Award-Winning栄誉の受賞08|まなびの杜 80号Line-up of Leading-edge Research工学研究科の黒田理人准教授と須川成利教授がThe 2016 nac High Speed Imaging Awardを受賞電気通信研究所の松宮一道准教授が第13回(平成28年度)日本学術振興会賞を受賞牧野彰宏教授(東北大学リサーチプロフェッサー・金属材料研究所)が第66回河北文化賞を受賞Highly Cited Researchers 2016に東北大学から寺崎哲也教授(薬学研究科)、山口信次郎教授(生命科学研究科)、佐藤修正准教授(生命科学研究科)の3名が選出2016/12/1612/2701/042017/01/19世界初、スピントロニクス素子を使った人工知能の動作実証に成功本学電気通信研究所附属ナノ・スピン実験施設の大野英男教授、佐藤茂雄教授、深見俊輔准教授、秋間学尚助教、同ブレインウェア実験施設の堀尾喜彦教授らの研究グループは、磁石材料から構成されるスピントロニクス素子を使った人工知能の基本動作の実証に世界で初めて成功しました。高速・小型・低消費電力性の人工知能を実現するには、生体内のシナプスの役割に固体素子を用いるのが有効です。今回の研究は、スピントロニクス素子をシナプスとして用いて人工的な神経回路網を構築し、コンピューターが苦手な連想記憶を実証しました。この成果は、人工知能が顔・音声認識、ウェアラブル端末、介護ロボットなどに適用されることが期待されます。本成果は応用物理学会論文誌 Applied Physics Express のオンライン版に掲載されました。012016/12/19遺伝子の優劣関係を決める仕組みを解明 ―メンデルの法則の謎を100年ぶりに立証―本学大学院生命科学研究科の渡辺正夫教授、高田美信技術専門職員らの研究グループは、農研機構、奈良先端科学技術大学院大学、大阪教育大学、神戸大学、東京大学との共同研究により、メンデルの「優性の法則」の現象について、複雑な優劣関係を決定する仕組みを世界で初めて明らかにしました。同グループは、優性遺伝子の小さな分子(低分子RNA)が、劣性遺伝子の働きを阻害することを解明。さらに低分子RNAの塩基の配列が変化して、特定の遺伝子同士で複雑な優劣関係が生み出されることを立証しました。この研究成果は、有用な遺伝子を働かせ、有害な遺伝子の働きを抑える技術へと結びつき、植物育種への応用が期待できます。本成果は、英科学誌 Nature の植物専門オンライン姉妹誌、Nature Plants に掲載されました。022016/12/26アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子を世界で初めて発見本学大学院生命科学研究科の菅野明准教授は奈良先端科学技術大学院大学、基礎生物学研究所、徳島大学、九州大学、東京大学との共同研究によって、全ゲノム(遺伝情報)や遺伝子の発現を解析する手法を用いて、アスパラガスの雌雄を決める性決定遺伝子を世界で初めて発見しました。雄株、雌株に分かれるアスパラガスでは、Y染色体上におしべの発達を促進する遺伝子とめしべの発達を抑制する遺伝子の2つの性決定遺伝子が存在するとされていました。本研究ではMSE1と名付けたタンパク質のDNAを持つ遺伝子がおしべの発達を促進する性決定遺伝子であることを解明。この成果は、植物の雌雄を改変する技術を生み、育種への応用が期待されます。この成果は日本分子生物学会および米国のJohn Wiley & Sons社が出版する Genes to Cells 誌に掲載されました。052017/01/17アルツハイマー病治療薬シーズの開発に成功 ―新メカニズムの治療薬の前臨床試験を終了―本学大学院薬学研究科の福永浩司教授らの研究グループは、新しいアルツハイマー病治療薬シーズを開発しました。研究グループは、T型カルシウムチャネル活性化薬SAK3がアセチルコリン神経終末のカルシウム濃度を高めることによって、アセチルコリンの遊離が高まり、その結果、福永教授らが約30年前に発見した記憶分子CaMKIIを活性化することを証明しました。さらに、記憶と認知機能が改善することを、アルツハイマー病モデルマウスで明らかにしました。本治療の候補薬は、記憶に関わる神経伝達物質の遊離を高めるという、世界初の薬です。さらには、既存の薬で治療が困難なアルツハイマー型認知症の患者にも、この薬が有効であることが期待できます。本成果は、Neuropharmacology 誌電子版に掲載されました。062017/01/26

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