東北大学広報誌 まなびの杜 No.82
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まなびの杜 82号|09「創造と変革を 先導する大学」東北大学総長室長・理事 植木 俊哉青葉山新キャンパスの風景。ここに産学連携共創拠点やサイエンスパークが構築されていく予定松野博一文部科学大臣(当時)から指定国立大学認定書を受け取る里見総長植木 俊哉 (うえき としや)1960年生まれ現職/東北大学総長室長・理事   (総務、国際展開、事務統括担当)   大学院法学研究科教授専門/国際法~世界から尊敬される三十傑大学を目指して 指定国立大学法人の誕生 二〇一七年六月、東北大学、東京大学、京都大学の三大学が文部科学大臣から指定国立大学法人の認定を受けました。指定国立大学法人は、日本を代表する大学として、世界の有力大学に伍して、国際社会の発展に貢献することが期待されています。東北大学では、里見進総長のリーダーシップのもと、多数の構成員が総力を結集して今回の構想をまとめました。ここでは、その骨子を要約してご紹介します。 東北大学が提示した構想とは 東北大学の構想は上の図の通りです。①人材育成、②研究力強化、③社会との連携、④大学経営革新、に関する四項目の施策を連携して実行することで、知の創造と社会・経済の変革を先導し、世界から尊敬される三十傑大学を目指します。言い換えれば、「世界で素晴らしい大学を三十校あげよ」と言われたときに、必ず東北大学の名前がその中にある、そのような存在となることを目指すものです。Ⅰ人材育成 人材育成の中核をなすものは、「国際共同大学院」などの特色ある学位プログラムの展開です。すでに四分野(スピントロニクス、環境・地球科学、データ科学、宇宙創成物理学)で海外有力大学との国際共同大学院がスタートしており、今後さらに分野を拡大する計画です。他にも、学際・国際・産学共創を基軸とするさまざまな学位プログラム群を充実させることで「東北大学高等大学院」を創設し、既存の専門分野の枠を超えた新たな教育を展開します。さらに、学生への経済支援の充実も含めて大学院の魅力を高め、内外から優秀な学生を集めます。Ⅱ研究力強化   研究に関しても、大学全体で従来の専門分野を横断した融合研究を進める改革を行い、国際的に卓越した研究クラスターを多数形成していきます。特に、材料科学、スピントロニクス、未来型医療、災害科学の四分野においては、世界トップレベルの研究拠点を創設します。これらの取組みとあわせて、常時二百名規模の若手研究者が伸び伸びと自由に活躍できる研究環境を確保します。Ⅲ社会との連携 東京ドーム十七個分の広さを持ち、地下鉄にも直結した青葉山新キャンパスの理想的環境を最大限に活用し、大型の産学連携研究開発拠点を整備します。また、官民イノベーションプログラム(出資事業)の採択大学に相応しい本格的な産学共創改革を推進し、知・人材・資金の好循環を確立して、産学連携関連収入を五倍規模に拡大します。Ⅳ大学経営革新 東北大学基金を強化することによって、総長が戦略的に活用できる財源を拡大します。また、総長補佐体制を抜本的に強化し、指定国立大学法人としてのビジョンを大学経営に迅速に反映できる運営体制を確立します。 おわりに 最後に個人的な感想となりますが、今回の指定国立大学法人に関する一連の審査(書類審査、ヒアリング、サイトビジット等)を通じて、里見総長を中心とした大学構成員の一体感が高く評価されたことは、非常に喜ばしいことでした。しかし、今回の指定は、東北大学が今後一層飛躍を遂げるためのチャンスを得たことを意味するに過ぎません。目標の実現に向けて、本学の教職員・学生が一丸となってさらに努力を重ねていくことが期待されます。東北大学の指定国立大学法人構想

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