東北大学 理学部 地球科学系
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26上下のピストンで中央にあるサンプルをゆっくり変形させる。Super hydrous phase Bの結晶構造中の電子密度分布図。特定の酸素(赤玉)に水素(矢印)が配位している様子が観察される。高圧変形装置ピストンピストンP3P2P1 地球の中は数千度という非常に高い温度環境にありますが、液体として溶けている部分は、ほんの少しで、大部分は固体からできています。その固体からなるマントルは、少しずつですが動いて(対流して)います。私たちは写真のような変形試験装置を用いて地球内部物質をゆっくりとしたスピードで変形させ、マントル対流の様子や、プレートが動くことによって発生する地震のメカニズムなどを調べています。 海洋プレートの沈み込みに伴って海洋から“水(H₂O やOH)”が地球深部へ供給されます。地球深部で“水”は、鉱物の結晶構造の中に取り込まれて存在しており、様々な物理現象に多大な影響を与えています。鉱物の物理的性質は、構成される原子同士の電子間相互作用に影響されます。地球深部の温度圧力条件(100 万気圧、2000 度以上) で、結晶構造がどのように変化し、電子がどのように分布しているかを知ることで物理的性質の変化のメカニズムを知ることが出来ます。結晶構造中の水素原子の位置を決定することは大変難しいのですが、観察できるようになってきています。Faculty of Science, Tohoku Universityマントル対流と地震発生メカニズム地球内部に供給される“水”の行方を探る 地球はどのようにして形成され、どのように進化し、そして未来はどのようになるのでしょうか。惑星としての地球は46億年にわたる進化を経て現在に至っています。地球の中心は360万気圧、5000度以上という超高圧・高温です。このような地球中心部は、私たちが想像もしない不思議な現象が起こっている地球科学のフロンティアです。私たちは、このような地球の表層から中心部に至る地球の46億年にもおよぶ形成と進化の過程を探求しています。さらに、太陽系において地球と兄弟の様々な惑星やその衛星の内部の構造・運動そして起源の探究も私たちの大変魅力的で重要な研究テーマです。EARTH SCIENCE地球の内部を探る

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