東北大学 理学部 地球科学系
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7入射レーザー散乱光加熱レーザー東北大学理学部地球科学系2地球の内部を探るダイヤモンドによる超高圧力発生MgSiO₃ペロブスカイトホットスポットホットプルーム外核内核スラブレーザー光による超高温発生MgSiO₃ポストペロブスカイト地殻マントルP波速度S波速度弾性波測定装置上部マントル核・マントル境界島孤大洋島マントル遷移層下部マントル外核内核干渉計X線下部マントルD”層外核海嶺660㎞2900㎞5150㎞ 地球の中心は360万気圧、5000度以上の極限状態です。地球の中心がどうなっているのかを理解するため、ダイヤモンドによる超高圧力発生技術とレーザー光による超高温発生技術を組み合わせて、極限状態を実験室で再現しています。実験ではナノテクノロジーを応用して数ミクロンの試料を作成したり、狙った位置から100ナノメートルの厚さの薄膜を切り出して観察したり、強力なX線で構造を調べたりしています。 マントルはケイ素・酸素・マグネシウムなどを主成分とする鉱物でできていますが、地球内部の高温高圧状態では構造が変わります。例えばMgSiO₃という組成の鉱物は、図のようにペロブスカイト構造やポストペロブスカイト構造になり、この変化に伴って物性も変わります。 核は鉄やニッケルを主成分とする金属です。このうち外核は液体で内核は固体です。ただし高温高圧状態にあるために、地上で見られる鉄ニッケル合金やその液体とは構造や物性が大きく異なると考えられています。 地球の内部は金属鉄でできた核と岩石でできたマントルに大きく分けられます。地球が形成する過程や現在までに核とマントルがどんな化学反応をしてきたのかを知ることは、地球全体の化学的な進化を知る上で重要です。私たちは地球形成初期から現在まで、または火星など他の惑星の場合などの様々な条件での核とマントルの反応を実験室で再現し、地球型惑星内部の化学的進化の解明を目指しています。 地球内部を伝わる地震波の速さは、地球内部の様々な性質を反映する重要な情報です。私たちは、実験室内に地球深部に相当する高温高圧状態を再現し、地球深部に存在する鉱物の波の伝わる速さを決定しています。その速さの変化を詳細に調べ、地震波の情報と比較することで地球の内部構造をより詳しく知ることができます。地球の核の研究〜ミクロな技術で地球中心状態を再現地球内部の物質核とマントルの化学反応地球深部を覗く波

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