東北大学 理学部 地球科学系
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38隕石衝突を模擬する一段式火薬銃グリーンランドにある38億年前の地層カナダにある20億年前の縞状鉄鉱層高温高圧発生装置 地球上の生命がどこでどのようにして誕生したのかは、地球科学における最も大きな謎の一つです。地質学的証拠の残されていない初期地球における生命誕生の解明には、室内実験による検証が不可欠です。私たちは、「地球のダイナミックな活動が生命を誕生させた」という仮説をもとに、隕石衝突や地下深部を模擬した実験を行っています。 衝撃銃を用いた隕石の衝突模擬実験や、高温高圧装置を用いた地下深部をモデル化した実験から、有機物の生成や高分子化反応を検証しています。その結果、隕石の衝突によって生命の元となるアミノ酸が生成することが明らかになりました。また、地殻内部のような高温高圧環境でアミノ酸が長く重合することも明らかになりつつあります。 生命は大気・海洋など地球表層環境の変化に合わせて進化し、またその進化によって地球環境に大きな影響を与えました。このような変化は堆積岩に残された有機物や鉱物の産状から読み解くことができます。 最古の生命の痕跡は38億年前の堆積岩から発見されています。この時代には既に微生物の活動があったのではないかと考えられており、当時の微生物がどのような環境で生息していたのかを明らかにするため調査が進められています。 初期生命体は酸素を必要としないものばかりでした。それが酸素を発生する光合成生物の進化によって、地球は酸素に満ちていき、酸素を利用する生物活動がおこなわれはじめました。このような変化がいつどのようにして起こったのか、南アフリカやカナダなど世界中の岩石を採取して研究しています。Faculty of Science, Tohoku University生命誕生の謎を解く初期生命の進化と地球環境 地球の生命はどのようにして生まれたのでしょうか? 地球の生命は、地球環境変化にどのように応答して進化し、また、地球環境をどのように変えていったのでしょうか? 多細胞生物の大部分が同時に絶滅し、生き残った少数の生物が進化して新しいタイプの生物となり、生物の大規模な入れ替えが繰り返し起きました。なぜ、このような大絶滅が起きるのでしょうか?EARTH SCIENCE生命の起源・進化・絶滅

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