東北大学 工学部 材料科学総合学科 研究室紹介
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材料システム工学コース Course of Materials Processing 「同じ釜の飯を食う」という言葉があります。学校や職場など同じ共同体に属し、苦楽を分かち合った親しい間柄のたとえですが、同じものを食べることによって仲が深まるのは経験的に知るところです。佐藤研究室の和気あいあいとした雰囲気は、文字通り一緒に同じ釜(炊飯器)のご飯を食べることから生まれています。 5月は、初夏の味覚・たけのこご飯。タケノコは、技術職員の方が「学生さんのために」と毎年採ってきてくれる有り難いもの。腕に覚え(?)のある学生が、家に持ち帰って下茹でをし、次の日、みんなで持ち寄った米で炊き上げます。雑誌会が終われば新入りの4年生をカレーでねぎらい、駅伝大会のあとはおでんで疲れた体をいたわり、院試の前は炊き込みご飯でエールを送ります。佐藤研究室には、卒業/修了した先輩たちが残していった炊飯器がたくさん。「一人、一釜(5合)」というお約束があるとか、ないとか。無茶ぶりはナシですよ。大食い競争はほどほどに。佐藤研の和やかな雰囲気の源、『同じ釜のごはん』大食い競争はほどほどに。佐藤研の和やかな雰囲気の源、『同じ釜のごはん』研究室TOPICS21工業生産活動を支える基盤技術、その基礎的研究を担う。 金属と金属を“くっつける”方法といえば「はんだ付け」を思い出される方も多いのではないでしょうか。すずと鉛の合金(近年、鉛フリーはんだも登場しています)を用いて母材(接合する材料)をつなぎ合わせるこの技法は、古代ローマで建設された水道管にも使われたという記録が残っています。溶接・接合技術は、すでに紀元前3000年までには登場していたとみられ、出土する青銅器などにその痕跡を見出すことができます。 くっつけることは、工業生産活動の要をなす技術。大型建造物や車両、船舶、航空機の製造過程で使われる以上、安全性と信頼性を担保する高い品質が求められます。しかし、溶接・接合するには、熱や圧力によって溶かしたり混ぜ合わせたり、また必要があれば溶加材(母材と母材の隙間を埋める金属)を使用したりします。すると材料が元々持っていた優れた性質が、多くの場合、低下してしまいます。こうした溶接・接合プロセスにおける材料組織学的な研究を行い、材料性能を維持する方法・技術を探究しているのが佐藤研究室。当該分野での世界有数の研究拠点として知られています。FSWの材料学的研究における世界のトップランナーとして。 次世代の接合技術として注目され、すでにアルミニウム合金を対象に実用化されているものに摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding;以下FSW)があります。従来の溶接・接合プロセスに比べ、数々の優れた性質を有するFSWは、自動車や新幹線車両、船舶などの製造の現場で導入されており、実は私たちの生活にとても身近な技術です。佐藤研究室では材料組織学的なアプローチを通じて、FSWメカニズムや接合後の材料特性の解析、接合部位の高性能化、信頼性向上のためのプロセス改善などの研究を行っています。  近年、工業製品の小型化・軽量化・コスト削減に向けて、アルミニウム合金、チタン合金、炭素繊維強化樹脂など、多様な材料を利用するマルチマテリアル化が進んでいます。異なる材料を安定的に接合する技術の一つとして注目されるのが、FSWと超音波振動による材料間の摩擦熱を用いる「超音波接合」です。超音波接合は60年以上の歴史がありますが、異種界面が形成される際に、どのような物理現象が起こっているのか、実ははっきりとはわかっていません。佐藤研究室では、微細組織解析を通じ、接合メカニズムや特性発現機構を明らかにしていくことを目指しています。 工業製品に不可欠な接合プロセス。その発展を支える佐藤研究室の取り組み。私たちの社会・暮らしと豊かな未来をしっかりつないでくれることでしょう。“くっつける”という人類5000年の試行錯誤。古今東西“ものづくり”の現場を悩ませてきた「溶接・接合技術」に材料組織学的アプローチ。接合界面制御学佐藤研究室【教授】 佐藤 裕 【助教】 藤井啓道http://www.material.tohoku.ac.jp/~setsugo/lab.html

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