東北大学 文学部 学部案内 2020年度入学者用
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 行動科学は、人間の行動や社会について「なぜ?」という問いをたて、それに答えようとすることで、人間と社会を統一的に研究する学問です。行動科学が扱う問題は、社会学・心理学・経済学・政治学など多くの専門分野と共有しているものです。また、主な研究方法として数学や統計学を用います。行動科学は、文科系・理科系といった枠も越え、様々な学問領域の交差点に位置しているのです。 行動科学研究室で取り組んでいる研究は、大きく二つあります。 一つめは、社会における様々な不平等や、人々の意識などについて、社会調査データを収集し、統計的に分析をする研究です。 二つめは社会現象を数学的に表現したモデルを作り、これを分析する研究です。個人の行動が集積した結果、意図しなかった社会的な結果が生じるという、環境問題などに多く見られる現象のメカニズムの分析を中心にしています。 幅広い知的好奇心を持った皆さんの参加を期待しています。 ブンカジンルイガクと聞いて、君は何を想像するだろう。遠くの世界の「奇妙な風習」をわざわざ見に行く「物好きな学者」の姿が頭に浮かんだとしたら、君のセンスは悪くない。文化人類学とは、長期間にわたって現地に住み込み、そこに生きる人々の日常生活を細々と観察し、人々の話に耳を傾けるというフィールドワークの手法を用いて、一見「奇妙」な生活習慣が現地の人々にとって持つ意味を解き明かし、彼らの人生観や世界観を理解しようという学問だ。日本を飛び出し、異質な世界に飛び込んで、「奇妙な風習」を見に行きたいと思うなら、君には文化人類学がピッタリだ。文化人類学研究室では、三年次から大学の外でフィールドワーク実習に取り組んでいる。短期の旅行や長期の留学で海外へ飛び出す学生も多い。そんな体験を活かして、マスコミやNGOに就職する者もいるし、研究者を目指して大学院に進む者もいる。文化人類学、やってみないか? より詳しくは、下記ウェブサイトを見てほしい。(http://www.sal.tohoku.ac.jp/anthropology/) 社会学は、社会の構造や変動に注目しながら、人間と社会との相互作用を包括的・多面的に研究する学問です。人文・社会系の学問の中でも同時代的性格が強いと言えます。自我をめぐるミクロ的な問題から地球環境問題に至るまで、幅広い領域で研究がおこなわれています。本講座は特に理論研究(M・ウェーバー、T・パーソンズ、J・ハーバーマス、N・ルーマン、U・ベックなどの現代的位置づけ、情報社会論、コミュニケーション論、社会運動論、政治社会学など)と、実証研究(コミュニティの研究や環境問題・災害研究、地域医療・福祉・家族・ジェンダーなど)を重視しています。指導にあたっては、外国語文献の精読をはじめとする理論的トレーニングおよびフィールド調査にもとづく社会現象の質的分析に力を入れています。所定の科目を履修することで、社会調査士の資格をとることができます。本講座の卒業生は、専門教育と訓練の成果を生かして、マスメディア、自治体などの現場で幅広く活躍しています。 本州最北端、下北半島の恐山は死者の霊魂が集まる山といわれ、7月下旬の大祭時には多くの参詣者で賑わう。その境内の一角に五体の石仏が並んでいる。その石仏に赤い帽子と赤いヨダレカケをつけている老婆に「この仏サンは何。そして何をしているの」と尋ねた時のこと、即座に「お地蔵さんだよ。赤ん坊の時に死んでしまった子どもの供養に来たのさ」と答えが返ってきた。老婆は亡き子のために一心に祈っている。しかし実は、この石仏は地蔵ではない。五智如来といって、仏教的にいえば子どもを守ってくれる働きをもつ仏ではないのである。さてこのような場面をどう考えたらよいのであろう? 教義に則った信仰こそが本当の信仰なのだろうか、それとも間違った対象にであれ一心に祈っている老婆の「信仰」が本当の信仰なのか? 宗教学研究室では、このような問題をデスクワークとフィールドワークを併用しながら研究しています。以下に、研究室のウエブサイトのURLを記しておきます。関心があれば、ご覧下さい。(http://www.sal.tohoku.ac.jp/religion/index.html)18Laboratory IntroductionBehavioral ScienceCultural AnthropologySociologyReligious Studies研究室紹介■■■■■■■■■■■■■■■

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