東北大学 工学部 材料科学総合学科 研究室紹介
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研究室TOPICSDepartment of Materials Science and Engineering【教授】吉見享祐 【准教授】関戸信彰 【助教】井田駿太郎http://www.material.tohoku.ac.jp/~uhtm/lab.htmlCourse of Materials Science|※1 独立行政法人国立環境研究所「日本の1990〜2009年度 の温室効果ガス排出量データ」(2011.04.26発表)OB・OGも参加して大賑わい! 卒業論文、修士論文の提出・発表も無事終わり、ほっとひと息の2月下旬、吉見研究室では50年の伝統をもつ2泊3日の旅行が開催されます。めざすは白銀の世界! 学生、教員・スタッフ、そして既卒者を含めた総勢30人ほどで繰り出すスキー合宿です。 美しいシュプールを描いて滑降してくるのは、雪国・新潟出身の丸山先生。学生時代はシーズン中、スキーに明け暮れたという腕前は健在です。片や何とも定まらないフォームなのが、ほとんどが初心者という学部4年生。それでも先輩のスパルタ指導(?)の甲斐あってか、合宿を終えるころには見事なパラレルターンを披露する人も。スキーの後の温泉、食事、宴会もまた楽しみ。先輩・後輩の垣根を越えて、研究・進路、そして人生について語り合いつつ……雪の夜は更けていきます。16高精度な材料評価は、合理的かつ適正な材料設計に不可欠な指針。 自動車の燃費向上は、車体の軽量化がカギ。車両重量が100㎏減少すれば、リッター当たり1㎞の燃費改善が期待されるといわれます。吉見研究室では、軽い材料の代名詞ともされるアルミニウム(密度2.70 g/cm3)よりもさらに軽量で比強度(引っ張り強さ)にも優れるマグネシウム(密度1.74 g/cm3)に注目。これまで室温での扱いが難しく利用されることがなかったマグネシウムですが、近年、結晶粒の微細化による新しい加工性が示されました。吉見研究室では自動車に展開できる優れた合金への可能性を探索しています。 厳しい環境で使用される材料は、信頼性が前提条件となります。吉見研究室では、高温下でどのように変形・破壊していくのか、またどれぐらいの時間にわたって性能が担保されるのか(寿命予測)といった評価に関する研究も行っています。こうした高精度な材料損傷評価は、合理的で適正な設計に向けた重要な指針にもなります。 先端研究は、教科書に載っていない、あるいは書き換える可能性を持つ未知の事象を開拓していくことに他なりません。吉見研究室では、自ら発想・思考、行動する姿勢を軸に、材料の最前線を探究しています。吉見研究室強度材料物性学分野21世紀の課題・地球温暖化。新しい材料の開発が、その解決の一翼を担う。自ら熟考し、行動するスタンスを軸に、未知の可能性の最前線へ。作動温度を上げれば熱効率もアップ。過酷な環境に耐え得る材料開発を。 地球温暖化は、世界が直面している最も深刻な環境問題のひとつです。その原因には諸説ありますが、現在のところもっとも有力とされているのが、化石燃料を燃焼させることで排出される二酸化炭素(以下CO2)です。日本におけるCO2直接排出量の部門別割合をみてみると火力発電などのエネルギー転換部門(約33%)と運輸部門(約20%)が半分を占めます※1。温暖化の抑制に向けたさまざまなアプローチ、選択肢を提供・提案していくことが研究を担う者としての使命・責務ですが、発電プラントや輸送機器の効率化を図っていくことによってCO2排出削減を目指していこうとするのが吉見研究室の取り組みです。 発電プラント等では作動温度の上昇に伴い、熱効率も向上していくことが明らかになっていますが、現在は主蒸気温度600℃での稼働が主流です。さらに高温高圧に耐え得る材料の登場により、700℃級システムの実現に近づいていきます。吉見研究室では、高温下の過酷な環境においても高い性能・機能を維持する材料の開発で、プラントの高効率化に貢献していくことを目指しています。吉見研究室50年の伝統、白銀の世界へ『スキー合宿』

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