東北大学 工学部 材料科学総合学科 研究室紹介
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研究室TOPICS金属フロンティア工学コース Course of Metallurgy【教授】 長坂徹也 【准教授】 三木貴博 【助教】 平木岳人http://www.material.tohoku.ac.jp/~tekko/釣った後はクッキングタイム、海の恵みに感謝しつつ…。 なぜか伝統的に? 太公望が多い長坂研究室。毎年夏と秋には、「釣り合宿」と称して、東北各地のポイントに繰り出します。昨年は、酒田(山形)で波止釣りに挑戦。釣果はアジ一束(100匹)に、メバル・カレイ、サヨリなど。キッチン付きのコテージで、海の恵みに感謝しつつ早速調理。お造り、素揚げ、鍋など、和食レストランも顔負けのメニューが並びました。寿司店でアルバイトをしていた学生さんの手による握り寿司も振る舞われ、大好評。……と、ここまでの話を傍らで聞いていた4年生の学生さんが「僕も釣りが好きです!」と笑顔で申告。今年の合宿が楽しみですね。 左の写真は、長坂研究室が年に一度新調するユニフォームとパーカー。サッカーや野球大会では揃いのウェアで、まずチームワークの良さをアピール。実力の程は……聞きそびれました(笑)。7製鋼プロセスの“もったいない”に着目。スラグの有効活用を提案。 鉄鋼製造プロセスにおける“もったいない”への取り組みも長坂研究室の特徴。副生成物として産出される製鋼スラグには、悪影響を及ぼす不純物として徹底的に除かれるリンを始めとして、鉄やシリコンなどの酸化物も含まれています。製鋼プロセスにおいては邪魔者とされるリンですが、実はこちらもほぼすべてを輸入に依存する貴重な資源です。そこで製鋼スラグから、磁気分離によってリンを分離・回収する技術を開発(特許出願中)。現在、大部分が埋め立て処理されている製鋼スラグの大幅削減を実現するとともに、物質循環にも資する技術です。他にも製鋼スラグに関する取り組みとしては、藻場・干潟の造成基盤として再利用し、海洋植物を繁殖させ、海中の環境修復ならびにCO2吸収・固定化するプロジェクトが着々と進められています。 日本は資源小国ですが、世界に誇れる卓越した研究開発力、そして技術力があります。それらの可能性が、次代に求められる持続可能な環境調和型社会をつくる底力となっていくことでしょう。長坂研究室金属プロセス工学講座資源小国・日本を支える研究開発力と技術力。英知と探究心で、次代に求められる物質循環社会の姿を描く。エネルギー・コスト・CO2をカットして、高純度・高品質の鋼づくりを。 高度経済成長期には“産業の米”(産業の中核を担うもの)と称された鉄鋼。1980年以降はその呼称を半導体製品に譲り渡すことになりますが、今でも国力・産業力の基盤としての位置づけは変わりなく、日本では年間約1億トンもの鋼が製造されています。鉄に炭素とさまざまな合金元素を加えてつくられる合金鋼は、優れた特性を持っており、これまで用途やニーズに応じて多様な合金が開発されてきました。例えば、鉄とクロム・ニッケルの合金であるステンレス鋼は、みなさんもご存知のことでしょう。しかし、資源に乏しい日本では、鉄鉱石を始め、クロム・ニッケルなどの重要な合金元素もほぼ全量輸入に頼っています。 長坂研究室では、製鉄プロセスにおける物理化学的・反応工学的研究を通じて、少ないエネルギー・時間・コスト、CO2排出量で高純度・高品質の金属を製造する方法を探究しています。これは今の時代に求められる省エネルギー、環境低負荷にも沿うものです。また、合金をつくる際には、不純物を取り除く必要がありますが、典型的な不純物である酸素を効率的に除去する方法の開発にも取り組んでいます。この技術は、様々な合金に適用できる可能性を持つものであり、大きな期待を集めています。海風に吹かれてのんびりと『釣り合宿』

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