法学部長あいさつよりよい社会の実現に寄与する伝統を大切にしつつ激動する世界に対応する教育改革で人材を養成する東北大学大学院法学研究科長・法学部長2東北大学法学部の前身である東北帝国大学法文学部が設置されたのは大正11年(1922年)、戦後、東北帝国大学が東北大学となり、昭和24年(1949年)に法文学部が法学部・経済学部・文学部に分かれました。昨年は前身から数えれば100周年、東北大学115周年にもあたり、全学的な行事・式典が行われました。法学部においても様々な記念事業を実施しましたが、メイン企画とも言える「卒業生インタビュー」では、法曹界や政財界、メディアで活躍する方々に、じっくりとお話しを聞く機会を持つことができました。年齢や性別も考慮しつつ十二人に絞ってお願いしましたが、人選を進める中で立派な卒業生が多いことを改めて認識しました。実際のインタビューでは、生い立ちから学生時代の過ごし方、各界でのキャリアや転機など、後輩学生にとっても進路や人生の指針となるような興味深い内容も多く、取材と執筆を担当した在学生や記事を読んだ法学部生の中から、十年後、二十年後にインタビューを受ける側となる者が出ることを願っています。(インタビュー記事の内容や周年事業の全体については、大学および法学部の記念ウェブサイトを是非ご覧ください。)そうした多くの優れた人材を社会に輩出することを可能としたのは、「研究第一主義」を掲げる東北大学を構成する一学部の教員として、法学・政治学の研究に打ち込み、その成果を学生への教育に連動させて注ぎ込んできた研究者と、向学心・向上心に富み社会貢献の意欲に満ちた学生との相互作用にあったと思います。特に、教員と学生が相互に意見を述べあい、納得のいくまで議論を続けることのできる演習(ゼミ)は、少人数教育を特徴としてきた法学部の重要な授業科目です。東北大学法学部は、基本的に、自由選択制をとっており、ゼミの履修や卒業論文の提出を卒業要件としてないので、大講義室における授業を履修して単位を修得すれば、卒業することは可能です。しかし、多くの学生は、ゼミに参加し、当該分野の第一人者であるベテラン教員や新進気鋭の研究者である若手教員と濃密な議論を重ねることによって、論理的に思考する力や、自分自身の考えや意見を相手に説得的に伝える力を涵養することに努めてきました。また、東北大学の尊重する「門戸開放」の理念や「実学尊重」の精神にも基づき、法曹界や官界などから多くの実務家教員も招いており、法学や政治学に関する理論的知識の習得だけでなく、社会人として備えていることが期待される論理的思考力・コミュニケーション能力を伸長させる教育も行われてきました。そうした点も、「法学・政治学に関する正確な基礎知識を身につけ、鋭い正義感覚と幅広い視野から社会に伏在する諸問題を発見・分析し、その解決に努めることを通じて、より良き社会の実現に貢献する人材(法政ジェネラリスト)の養成を行う」という東北大学法学部の教育目的にプラスに作用してきたものと自負しております。東北大学法学部は、上記のような伝統的な人材養成教育に加え、社会のグローバル化や法曹養成制度の改革といった現代的問題に対応する教育改革も行っており、前者との関係で国際コースを、後者との関係で法曹コースを設けました(その詳細は本パンフレットの関連項目をご覧ください)。これは国際的な活動に従事したいという学生や法曹になりたいという学生に対して、より的確な教育を提供しようとするもので、従来の伝統的なカリキュラムを拡充し、教育の充実を図るものです。ロシアのウクライナ侵攻から一年余り、民主主義陣営と権威主義陣営の対立は深まり、国際情勢は不透明感を増す一方です。さらに、昨年末から顕著となった生成系AIの急速な発展は、社会のあり方を根本から変化させるかもしれません。それに伴って、格差社会の一層の拡大も懸念されるところです。東北大学法学部では、そうした現代社会が直面する諸課題に対して法的・政治的観点から研究成果の発信と、その解決に寄与する人材を育成することに引き続き努めていきます。2023年4月1日法学部長あいさつ ……………………………2教育理念…………………………………………3学生インタビュー ………………………………4OB・OGインタビュー……………………………6卒業生の進路 …………………………………9教員インタビュー…………………………………10東北大学法学部のカリキュラム……………12入試情報…………………………………………14ウェブサイトガイド…………………………………16戸澤 英典GreetingsContents
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