鳥取大学 大学案内2018
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2018 TOTTORI UNIVERSITY74Kozue Sotome農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター准教授早乙女 梢07Super Teacher名前の無いきのこに、光を当てる。 大学2年生のときに山に入り、いろいろな形態や色をした“キノコ”を見て魅了された。いったい、この生き物はなんだろう。興味津々で、早乙女梢 准教授は「それからこの方、ずっと、きのことのお付き合いなんです」というほど根っからの“きのこ女子”。 「きのこ類を含む「菌類」には、まだ種名などの名前(学名)がつけられていないような未知のものが多く、存在することが明らかであっても、分類学的な位置づけが未検証なものが日本をはじめ、地球上には無数にあります。私たちは、そうした菌類・きのこ類を貴重な遺伝資源として捉え、系統関係を考慮した上で、分類し、菌株の特性や種判定に有用なDNA情報を収集しています」。つまり基礎的なデータベースをつくっているのだ。准教授たちの研究によって世界で初めて命名されたきのこもある。 推定では世界には約150万種の菌類が存在するが、その中で名前がついているきのこ類は約2万種と言われている。「私が一生をかけて調べても国内のきのこですら、全て把握することはできないでしょうね」と、准教授。硬い「サルノコシカケ」も、きのこなのです。 所属する菌類きのこ遺伝資源研究センターには約1,300種8,300株のきのこ類の菌株が収集・保存されている。これは存在すると推定される菌類の種数からすれば限られるものの、「菌株保存機関」が有する菌株数としては世界最大級である。 「見た目には同じような形態や色をしているものでも、DNA解析をすると、まったく別のきのこだったりします。形や特徴の見た目だけで判断できない」という不思議さ。とくに興味深かったのは、一般に「サルノコシカケ」と呼ばれるきのこだった。樹木に寄生して成長し、硬いきのこをつくる。「菌糸の塊(かたまり)が繊維状にからまっているので硬いのですが、種はいろいろあります」。樹木などを腐らせる(腐朽・分解する)生き物のきのこはバイオマス利用の発展や医薬品開発の資源などとして注目され、応用の可能性がますます広がっている。 センターには鳥取県特産の果樹「二十世紀梨」などの樹木の切り枝が試験資材として運び込まれていた。枝にはきのこが寄生している。「果樹の腐朽病原体の観点からみるきのこ研究もまだ未発展で、研究はこれからです」と、菌類・きのこへの熱い意思がこもる。未知なる菌類・きのこ世界への扉の位置に立つ。1982年、埼玉県生まれ。博士(農学)。埼玉県立大宮南高等学校卒。茨城大学理学部地球生命環境科学科卒。10年、筑波大学大学院生命環境科学研究科(生物圏資源科学専攻博士後期課程)修了。11年、鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター(遺伝資源評価保存研究部門)助教に。木材腐朽性きのこ類の系統関係の解明に取り組む。学生へは「貴重な大学生活の中で研究の面白さや苦しさを後悔のないように経験してほしい」と願っている。

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