鳥取大学 GUIDE BOOK 2023
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42TORIDAI Professorトリダイプロフェッサー03医学部保健学科看護学専攻 准教授Yuko Nishina1977年、鳥取県生まれ。博士(保健学)。鳥取県立米子東高等学校卒。2000年、広島大学医学部保健学科卒業後、総合病院で看護師・保健師として勤務。主に外科病棟で患者さんの術前術後の看護を担当。のち鳥取大学大学院医学系研究科(保健学)に進み博士課程修了。主な研究テーマは「若手訪問看護師の育成」など。地域・在宅で生活・療養している人たちの看護ケアに携わる看護師の支援策を探究している。院内とは違う療養者の“生活感”の中で。看護師の職場といえば、主に病院や医院だろう。しかし看護師は院外に出かけて活動するさまざまな場面がある。その一つが、在宅や地域施設で過ごす療養者のところへ出かけて看護をする「訪問看護師」の活動だ。そこでは、どのような取り組みが行われているのだろうか。仁科祐子准教授は、超高齢社会にあって在宅医療・介護の重要性が高まるなかで訪問看護師の活動に実際にふれながら、その人らしい生活を支援する看護の在り方を研究している。 「私が訪問看護について学び研究をしようと思ったのは、学生が訪問看護ステーションの看護師さんと一緒に在宅療養者さんのご自宅で活動する臨地実習を担当することになったのが始まりです」。そこでは、看護活動にくわえ、療養者本人やご家族とさまざまな不安や希望の切実な会話が交わされる。そのうえで主治医や介護職などの多職種との連携や調整も担う。「在宅療養者さんがしたい生活を続けられるように看護師としてどう支援していけばいいのか、いろいろと考えてきました。その結果、利用者さんやご家族、主治医や多職種の人と“共に考える” ことがとても重要であると、研究からも分かってきました」と准教授はいう。地域のさまざまな人から学び育まれる“看護の力”2000年に介護保険制度が始まって7年ほど経過したころ准教授たちは、訪問看護師を対象に、仕事に関する意識調査を実施。その結果、訪問看護師は仕事内容に満足している人が70%以上と高く、それがこの仕事を続けたい思いに関連していた。 「日本では制度化された訪問看護の歴史はまだ浅く、その活動を学問的に探究したり評価する指標もまだ手探りなところがあります。だからこそ、研究すべき課題は多く、地域・在宅看護に興味をもってくれる人がもっともっと増えればいいなと思っています。地域には私たちにはまだみえていない課題が沢山あります。その中には看護の力が発揮できることもあります。年齢や経験は関係ありません。むしろいろんな人がいた方が、新しい発想が生まれると思っています」。在宅療養者の思いや生活に即した地域・在宅看護を、訪問看護師の活動から学び探究。仁科祐子2023 TOTTORI UNIVERSITY

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