鳥取大学 GUIDE BOOK 2023
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72TORIDAI Professorトリダイプロフェッサー07農学部生命環境農学科 教授山田智Satoshi Yamada1966年、東京都生まれ。東京都立石神井高等学校、明治大学農学部卒。北海道大学大学院農学研究科で博士(農学)を取得。国際協力事業団(現 国際協力機構)を退団後、97年に鳥取大学へ。2017年から現職。小学生の頃、剣道の団体戦で大将を務め日本一となる。洋楽が好きで、池造りが得意。「幅広いことに触れられる時代だからこそ、知らずと見逃していることもあるのでは。取り組みたい事柄をじっくりと時間をかけて探して」と呼びかける。限りある水資源を有効活用。 少ない水を有効に活用して、魚を養殖し、水耕栽培で作物を育て、露地で野菜を栽培する。水を循環させる過程で作物に有害な塩分を取り除くことができるため、土壌や地下水の塩分濃度が上昇する塩害を防ぐことができる。地球上のすべての生命にとって大切な水を守りながら、永続的に食料を生産する。そんな夢のシステムが、アクアポニックスだ。山田智教授は、国土の約半分が乾燥地というメキシコで露地栽培結合型アクアポニックスの実証研究を行う。 アクアポニックスは、アクアカルチャー(養殖)とハイドロポニックス(水耕栽培)を合わせた造語で、養殖される魚などの排泄物を微生物が分解したものを、植物が養分として利用する仕組みのこと。教授らは、塩分を含む水でも生育が可能な魚を飼育し、養殖に使用した水を水耕栽培に利用。水耕栽培では塩分を吸収して成長を促進させることができる好塩性作物を育て、水中の塩分濃度の低くして、最後に露地栽培に使用する。低塩化した水を露地栽培に用いることで土壌の塩類化を防ぐとともに、やがては地下水の塩分濃度の低下にもつながると期待されている。環境に調和した食料生産を実証。 東京で生まれ育った教授。「自然と遠い環境だったため、逆にひかれたのかもしれません」。北海道大学大学院で農芸化学を学び、国際協力事業団としてフィリピンで農業指導に従事。乾燥地農業に関わり始めたのは、鳥取大学に赴任してから。地球の陸地の約40%を占める乾燥地では水資源が乏しく、深刻な塩害によって作物の生産量は急速に低下していた。乾燥地農業の重要性に気づき、研究員や学生とともに乾燥地に適応した生産システムの開発に取り組むようになる。2015年から開始したメキシコでの実証試験は順調に進み、生産した魚や作物を市場に出荷できるようにまでなった。「塩からい水でも工夫することで環境に調和した食料生産に利用できることが実証できた。今後はより高く売れる魚の養殖や作物の栽培を検証し、収益性を上げて現地での普及の可能性を探るとともに、環境やその土地を守るためには必要な技術であることを、広く知ってもらう努力をしていきたい」。刻々と変化する地球環境。安全な水の供給と安定した食料生産の使命を担い、持続可能な農水産業を追求する。魚と作物を育てながら、水をどんどんきれいに。未来の食料生産システム。2023 TOTTORI UNIVERSITY

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