平成30年度 筑波大学入学案内
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上図: 磁性ナノ粒子(赤丸)を癌細胞(星形)に集め、体外から交流磁場を加えることで癌腫瘍のみを壊死させる。写真はそれに用いる磁性ナノ粒子。磁性ナノ粒子が発熱腫瘍のみが壊死学類担当教員の研究紹介磁気の力で体に負担を掛けずに癌を退治!(喜多・柳原研究室) 癌は日本人の死因の第一位です。この癌を克服するために、世界中で様々な治療方法の開発がおこなわれています。現在、一般的に用いられている治療法には、(1)外科的療法、(2)化学療法、(3)放射線療法の3つがあります。我々の研究室では、より優れた治療方法を目指し学内の医学系研究室などとの共同で磁性ナノ粒子を用いた癌の焼灼療法の開発を行なっています。これは、強磁性体に交流磁場を与えるとヒステリシス損失で発熱することを利用して、局所的に腫瘍を焼く治療方法です。抗体反応などを利用することで磁性ナノ粒子を腫瘍部分に集め、体外から磁場を加えることで腫瘍部のみを局所的に高温加熱し、壊死させることができます。この方法は、現行の治療法では治療が困難な難治症例に対して大きな効果が期待されているばかりでなく、患者にとっても負担の少ない治療手法と考えられます。 磁気記録の分野で広く利用されていた磁性粒子には、その作製方法、磁性の設計・制御方法、分散技術など、高い基礎技術の蓄積があり、癌の焼灼療法に適したナノ粒子の作製に応用できます。医学・生化学研究グループとの連携を取りながら、高性能な磁性ナノ粒子の作製と高磁場発生装置の設計・開発を中心に、この革新的な癌治療方法の実現に向けて研究をしています。他の研究例については学類HP をご覧ください。8276

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