筑波大学案内 2025
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61である数学(数式)で考えます。なぜ数学かといいますと、数学が最も厳格であり最も論理的な言語だからです。数学には感情の入り込む余地はありませんし、世界中の誰が見ても一義的にしか読み取れません。ですので、大学では、物理学を学ぶために、まずは数学をしっかりと学習します。その上で、物理学の問題(これは日本語)を数式に翻訳し、数式を数学のルールに従って変形し、最終的な数式の意味するところを(日本語に置き換えて)理解する、こういった訓練を行います。この訓練にとって、高校でも履修する「力学」と「電磁気学」は、よい教材となります。 物理学は、先人が築き上げたものを元に、新たに見いだされたものを積み上げて行くという過程を繰り返して発展してきました。現代物理学は高度に発展し、それぞれの分野での専門性が高いですが、一方では、基本的な概念が広い領域で普遍的に用いられています。学群の4年間では、古典物理学から始まって、現代物理学の骨格を成す基礎的科目へ、さらには専門性の高い発展的科目を順番に学習することが必要です。それぞれの科目には標準履修年次を設定しています。1年次… 古典物理学を質点と場の観点から理解するとともに、数学・化学・生物学・地球科学などの自然科学を幅広く学びます。2年次… 古典物理学をさらに深く学ぶとともに、現代物理学の骨格を成す量子力学などの基礎を習得します。3年次… 現代物理学についてより発展的な内容を学ぶとと4年次… 専門物理学を学ぶとともに、研究室に所属して卒もに、専門物理学を学びます。業研究を行います。特長 物理学類には70名以上の教員が在籍し、講義・演習・実験・セミナーなどを担当しています。これらの教員は、10の研究グループに属して様々な分野で最先端の研究を進めています。また、多くの教員は研究センター(計算科学研究センター、エネルギー物質科学研究センター、宇宙史研究センター、プラズマ研究センター等)にも所属しています。4年生では、研究グループのいずれかに属して卒業研究を行います。卒業生の多くは大学院に進学し、学類で学んだ物理学の知識を基礎に、最先端の研究に取り組んでいます。 筑波大学では1996年に当時世界最高速の並列計算機を開発するなど計算物理学の分野でも先駆的な研究を行っています。下の写真は計算科学研究センターにおいて2023年度から本格稼働したスーパーコンピュータPegasus(ペガサス)です。これを使って、素粒子・原子核・宇宙・物質・生命等における最先端の研究が行われています。専門として学べる内容 皆さんは、高校で学ぶ「物理」を通して、「物理」の単純さに心を惹かれたのではないでしょうか。例えば、ニュートンの運動法則(力=質量×加速度)という1つの簡単な式によって、いろいろな事象が説明できます。この「単純さ」と「普遍性」こそが物理の本質です。 大学で学ぶ「物理」は、数学(数式)を使って記述されています。皆さんは物事を考えるときは、もちろん、日本語ですよね。でも、物理を考えるときは、世界の共通言語

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