筑波大学案内 2025
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65化学、物理化学)は必修科目で、毎週3日間、午後はこれらの専門化学実験で化学実験の手法を学び、技術を磨きます。2、3年次でそれぞれ開講されている基礎化学外書講読、専門化学外書講読では、英語論文を読む力をつけ、卒業研究の準備をします。 4年次では、卒業研究が中心になります。化学類では、無機反応化学、無機合成化学、分析化学、放射化学、凝縮系物理化学、分光物理化学、大気物理化学、有機合成化学、有機元素化学、超分子化学、構造生物化学、生物有機化学、製薬化学などの分野をおき、物質の構造、物性、反応、合成などに関する基礎研究をはじめ、広い視野に立った境界領域の研究を行っています。希望に応じてそれぞれの分野の研究室に配属され、教員の直接指導のもとに卒業研究を行います。教職員や大学院生、国内外の研究者らと親しく接しながら活発な雰囲気の中で卒業研究を行い、研究成果を研究室セミナー、卒業研究発表会や日本化学会の研究発表会で報告し、化学者としての第一歩を踏み出します。錯体化学の最前線 金属錯体は金属イオンと有機配位子からなる化合物であり、自然界や現代社会において反応触媒や機能性物質として重要な役割を担っています。最近、金属錯体の構造や電子状水溶液中における鉄触媒による高効率かつ高選択的なメタンからメタノールへの酸化反応態を精密に制御設計することができるようになりました。また、金属イオンを組織的に集合させることにより、個々の金属イオンの特性が相乗的に機能する物質も合成され、新たな機能にますます期待が高まっています。錯体化学者は、その高度に設計された分子システムの化学的・物理的知の構造と機能に魅了され、日々物質合成と機能探索を続けています。構造生物化学 ウイルスから人まで、生命は、DNAやRNAなどの核酸、そしてそれらDNAもRNAも4種類のヌクレオチドから構成され、タンパク質も基本的に20種類のアミノ酸から作られています。このような限られたパーツから、ウイルスから人まで多様で複雑な機能をもった生命、すなわち分子の集合体が作られています。それには、原子の空間配置を変えることで異なる機能を生み出すという戦略を生命はとりました。従って、生命を原理から理解するには、分子の空間構造を明らかにすることが必須となります。この分野では2017年にノーベル化学賞を受賞したクライオ電子顕微鏡技術がその進展を急加速し、新型コロナウイルスの解析でも大活躍しました。そうした最先端の手法を武器に、腫瘍発生の仕組みや、遺伝子発現の仕組み、ウイルスや細菌が感染・増殖する仕組みなどが分子レベルで、すなわち化学の目で明らかにされつつあります。クライオ電子顕微鏡で明らかになった光センサータンパク質精密有機合成 有機化合物は三次元構造をもっているため、その多くは空間における原子の配列だけが異なる立体異性体から成っ研究紹介 化学類の学生が4年次に配属される研究室では、以下に示すテーマをはじめ、様々な最先端の研究を行っています。

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