宇都宮大学広報誌 UUnow 第41号
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◆近い隣に、新しい世界がある「地域デザイン」という分野は、単に大学の中での勉強だけで終わりにしてはいけない学問分野で、実際のモノの広がり、コミュニティの広がりというものを目の当たりにして、その経験をイメージしながら勉強していくことが非常に大事なのではないかと考えています。理系の建築都市デザイン学科、社会基盤デザイン学科に関しても、教室の黒板に橋や建物を描いて「計算式はこうですよ」と説明を受け、それで「わかりました」ではなくて、実際に地域に出て建造物等を目の当たりにすることで「こんなに大きなものをつくるのか」「こんなに細かいところにまで気を遣うのか」というようなことを実感し、意識する。あるいはコミュニティデザイン学科の学生が地域の人と会い、コミュニケーションを図ることによって「こんな具合に、みんないきいきと仕事をしているのか」「こんなに困った人がいるのか」というようなことを認識することがとても大切だと思います。それは、勉強を重ねていって最後の応用として経験し学ぶのではなくて、最初のところで「自分たちがどのようなところを目指して勉強していくものなのか」UUnow第41号 2016.11.20●4ということを、地域社会のコミュニティや施設、技術、歴史、対策などに直接触れる経験を通してきちんと認識する。それを踏まえ、2年次は自分たちが拠って立つ専門についてそれぞれの学科で勉強していく。そういうモチベーションを持ってもらうことがこの授業の目指すものの一つです。3年次には「地域プロジェクト演習」という授業で再度、3学科の学生が一緒になって実際に地域の問題を解決するグループワークに取り組むことになりますが、地域デザイン能力育成の端緒としてこの科目が位置づけられています。また、地域デザイン科学部は文理融合の共通科目の学びから総合的な視野を養うことを目指していますので、それぞれの分野で関心のある場所を見学しただけで終わりにせず、そこで見聞きしたことを3学科混成グループによるディスカッションを通して共有することで、この授業は成り立ちます。ある人が見聞きし感じたことを他人事ではなく、自分の事として考えられるようになることを目指しています。「地域デザイン科学部が目指す教育Ⅱ」◇学科混成のグループワークでは、モノを見る目を養って欲しいと考えています。実際に自分が見に行ったモノを見る目。あるいは自分ではない誰かが見に行って話してくれたことを見る目。「みる」にはいろいろな意味があると思います。自分が見るということは、やはり自分の関心がいったモノについて見ているわけです。違った見方をする学生とのグループワークの中で自分が見落としていたこと、見過ごしていたことに気づかされる。それと同時に、他の人の話を聞いて自分が関心を持っている世界の限りなく近い隣に新しい世界があることを知る。そのような中でモノを見る目が広がっていくことを期待しています。◇グループワークには必ずコミュニケーションがありますから、前期の科目「コミュニケーション演習」で学んだスキルが、この授業に活きてくると思います。最終的にはディスカッションの結果をポスター発表という形でプレゼンテーションすることになっていますので、ある意味、合意形成の練習にもなるのではないかと考えています。3年次には「ワークショップ演習」という、意見が対立した中でいかに合意形成を図るのかを考える授業があります。ここでの学びがその授業にも繋がっていくのではないかと期待しています。地域デザイン科学部の「地域対応力」養成のための教育プログラムで重要な科目と位置づけられている「地域デザイン訪問」の授業が始まりました。コミュニティデザイン、建築都市デザイン、社会基盤デザインの各学科ごとに地域のフィールドに出向き、そこで見聞きしたこと、感じたことを3学科混成グループでディスカッションします。学内外から注目されている「文理融合」による「地域デザイン能力育成」の学びについて池田裕一教授に聞きました。◆平野優麻(社会基盤デザイン学科1年)ダムにしても浄化センターにしても小さい時から当たり前にあるものと感じてきましたが、実際に足を運んで、そこで人がどんな思いで働いているのかを聞くと、インフラを支える人が絶対に必要だということを感じました。将来インフラを支える人材になるのであれば早い段階で、そういうことを知る機会を持てることはとても良いことだと思います。文系と理系で勉強している科目は違いますが、最終的に向かう方向は「人の暮らしを支える」というようなことで同じだと思います。いろいろな人の考えを擦り合わせるのは面白いし、文理融合はこれから絶対に必要な学びだと感じています。3学科混成のグループワークー「地域デザイン訪問」ー

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