宇都宮大学広報誌 UUnow 第42号
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● 電気的現象や磁気的な現象を体系的に学ぶ電気磁気学は、電気電子工学において最も基礎的な学問であり、この科目は非常に重要視されています。1年次の必修科目ですが、物理現象を身近なものと結びつけて教えるようにしています。例えばスマートフォン、デバイスとして役に立つことは分かっていますが、技術の実用的な部分だけをいきなり見せても複雑すぎて分からない。ですから高校で習った物理と実際に使われている技術との間を埋めていく。その中で最も基本的なところを押さえているのが、電気磁気学です。この授業で学んだことは必ず2年次以降に学ぶ公式や物理現象につながっていきます。基礎中の基礎、根本的なことを学ぶだけに、ある意味、味気なくなりやすい科目ですので、オモシロくということも含めて学生の興味を引くよう心がけています。また、高校と大学の学びをスムーズにつなぐ科目でもあると思います。高校で習ったことを思い返しながら、一方で大学の学びにどう連結させるのかということを意識しながら教えています。ひたすら公式を覚えて問題を解けるようになることが重要ではなく、本質的な部分を理解してもらいたい。教科書を鵜呑みにせずに、「なぜそうなるのか」を常に問うて欲しいと学生には伝えています。学生は厳しい授業と思っているようですが、1つポリシーがあって、卒業して20年経った時に「あぁっ、あの東口!」と言って、私の授業を思い出してくれれば成功だと思っているんです。電荷により電場が発生すること、電流により磁場が発生すること、磁場が時間変化すると電場が発生することは、すべて目に⾒えないことから、理解することが難しい科目です。授業では、物理的描写と物理量を定量的に把握するため、多くの演習問題を課しています。大学での電気磁気学やそれから発展する専門科目を理解するために1年生後期に設定されている必修科目です。● 授業概要● 教員からUUnow第42号 2017.4.20●10東口 武史教授●私はバンドサークルに入っていますが、高校の時にギターの音を電気で出す仕組みを知りたいと思ったことが、電気電子の分野に興味を持つきっかけでした。高校では受験で問題を解くために公式を無理やり覚えていたのですが、この授業で、「なぜその公式が作られたか、どのようなときに使うか」などがより詳しく理解できました。大学では高校で学んだ事がなぜそうなるのかを自分で考えることになります。きちんと公式の説明ができるように理解していれば、大学の授業では苦労しないと思います。●大学の電磁気の授業は難しいという印象でしたが、この授業は電磁気がSuica(スイカ)など身近なものに関連があるという事を教えてくれました。単なる暗記ではなく、公式の裏づけがきちんとされるところが高校との違いです。色々な分野の計算方法を習い、仕組みについての理解が深まりました。先生は高校からのつながりも含めて教えてくれるので理解しやすい。身近なことで皆が当たり前に思っているところに疑問を持てるように、これからも学んでいきたいと思います。● 身近で親しみやすい物理学を教えてもらっています。普段何気なく使っている物でも「なぜそうなるのか?」と考えるきっかけになります。例えば毎朝使っている電車のICカード、これを押すだけで改札を通り記録できるのか疑問に思っていたのですが、授業で解明できました。また、高校の物理で運動方程式を解くときに「加速度a」を求めますが「なぜそれを求めるのか」というのに意味があって加速度を求めると物体の未来が分かる、「いつどこに、どうあったのか」などが分かる。常に何を自分が知りたいのか、未知数が何なのか意識すると物理の問題はつじつまが合って分かりやすくなります。同 1年 山本 智史電気電子工学科1年菅原 梨沙同 1年 岩舘 沙紀同 1年 吉田 圭佑専門分野:レーザー応用専門分野(科研費分類):光工学・光量子科学専門分野(Read分類):応用光学・量子光工学教育学部 地域居住論工学研究科 機械知能工学基盤教育「体験! ぷろじぇくと」基盤教育「体験! ぷろじぇくと」 Academic English ReadingAcademic English Reading国際学部国際学部 学術英語講読学術英語講読教育学部初等理科教育法教育学部初等理科教育法農学部 応用生命化学科 生物化学 Ⅰ工学部 電気電子工学科工学部 電気電子工学科電気磁気学A電気磁気学A工学部 電気電子工学科工学部 電気電子工学科電気磁気学A電気磁気学A■今回ご紹介した授業の様子が動画でもご覧いただけます。●学生から※学生の学年は取材当時のものです。●ライブやコンサートで照明やレーザーを使った表現を見て、照明のスタッフをやりたいと思っていました。照明の原理等も学びたいと思いこの学科を選びました。授業ではレーザーが、がんを発見するためにも役立っていることを知りました。理工系の技術が医療に関わっているということで、医療の分野にも興味を持つようになりました。先生は分かるところから教えてくれるので、最終的には難しいことを学んでいても理解できるようなりました。特に公式を講義中に何度も言われるので自然と頭に残ります。先生の海外出張の話もとても参考になります。

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