宇都宮大学広報誌 UUnow 第43号
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● 研究室概要11●UUnow第43号 2017.7.20国際開発という、先進国から発展途上国へ支援を行うという枠組みから、先進国と途上国がお互いに協力しそれぞれが発展していけるようなアプローチを模索すべく、現在はスリランカの紅茶プランテーション農園に住む人々の生活環境改善、ガバナンス改善を、紅茶の消費者と生産者という市民同士のつながり、交流により、コミュニティーの発展のためのアプローチを研究中。● 教員から専門分野:国際開発、ガバナンス、国際NGO、人道援助、市民社会、ファシリテーション国際社会学科4年 前野結海● 学生から国際文化学科4年 栗原万由香国際社会学科4年 髙野裕子●「カンボジアの教育格差と貧困の関連性」について研究しています。昨年、カンボジアで仕事がない人のために雇用を生み出す活動をしている団体でインターンを経験しました。カンボジアは貧富の格差が大きく、その背景には教育の格差があるのではないかと考え、このテーマを選びました。カンボジア滞在中「君は大学に行けて、インターンも経験できる。僕はいくら努力しても大学に行けない」と言われショックを受けました。能力があるのに大学に行けない、個人の力ではどうにもならない現実に矛盾を感じました。そこを変えたいと思ったことが研究の原動力になっています。●研究テーマは「諸外国のイメージ形成」についてです。メキシコに留学したのですが、留学する前のイメージと実際のメキシコの姿にはすごくギャップがありました。外国に対するイメージや価値観はどのように生まれ形成されていくのか、メキシコなど数か国を対象に研究を進めています。育った環境や海外経験の有無でイメージも変わってくると思いますし、メディアの影響もあります。今後訪日外国人が増えていく中で、今の外国に対するイメージ、価値観のままで対応できるのか、そのような問題意識を持って課題の解決策を考えていきたいと思っています。●「台湾の先住民族における野球の役割」について研究しています。台湾に留学し現地の大学の野球部に所属、留学終了後は先住民族の文化を継承している団体でインターンを経験したことを踏まえて、このテーマに決めました。先住民族の人口は台湾全体の約2%に過ぎないのにプロ野球の選手は全体の4割を占めるという事実に興味を持ちました。先住民のアイデンティティーの形成やコミュニティーの活性化に野球がどんな役割を果たしているか調べています。将来、スポーツを通じた国際交流に携わることができればと思っています。国際社会学科4年 宮平永橋●国際協力やNGOに興味があって、将来そういう場で働きたいという思いを持って頑張っている学生が、そういう仕事に就けないのはもったいないと思います。私自身もNGOやNPOに興味がありベトナム等でのインターンを経験しましたが、日本の場合、ファンドレイジングが遅れていることが仕事として選択することを難しくしている要因の1つと考え、NGOの資金調達について研究しています。アメリカなどはNGOで働くことは高収入で憧れの職業になっていますが、日本はボランティアのイメージが根づいています。ファンドレイジングを調べていく中でいい方策を見つけられたらと思っています。● 国際NGOやJICAのスタッフとして長年、スリランカの紅茶プランテーションの労働者を支援するプロジェクトに携わってきました。宇大に着任してからは、宇都宮市が紅茶の消費量が全国上位であることを知り、スリランカに縁があるかなということで宇都宮市民と紅茶プランテーションの労働者のコミュニティを結び付け、双方にとって有益な交流を進め、最終的にはプランテーション農園コミュニティの生活改善につなげる方策を模索しています。大学での研究テーマは、ガバナンスです。ガバナンスの行きつくところは社会正義を実現することです。イギリスの植民地時代に開拓されたスリランカの紅茶農園は、現在でも植民地時代とほぼ同様の方式で紅茶が生産されていて、安い労働賃金、機会の不平等など過酷な環境にあります。それはガバナンスが機能していないからなのか、スリランカ国内だけの問題ではなく日ごろ紅茶を飲んでいる私たち消費者にも問題があるのではないか、そう考えていくと根底にあるのは社会正義的な視点なのです。宇都宮市の紅茶消費量が全国上位というのであれば、より責任があるのかもしれません。一見、関係していないようなことが、実は私たちの生活と深く関係している。学生は、そういうことに気づく想像力を鍛えて欲しいと思っています。今年度はJICAの資金的支援を受けて紅茶農園に住む子どもの教育環境を改善するプロジェクトをスタートさせます。この中で、栃木県民、宇都宮市民に現地のことを知っていただくプログラムを考えています。学生にも現地の若者と交流し、彼らから何を学べるのか、学生目線で何を発信できるか、考えてもらおうと思っています。    栗原俊輔ゼミ栗原俊輔ゼミ栗原俊輔ゼミ 栗原俊輔講師 国際学部国際学部国際学部

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