宇都宮大学広報誌 UUnow 第43号
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違いないので、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢が必要だと思います。そうはいっても失敗した時はへこんだり落ち込んだりするけれど、必要以上にくよくよしないで、楽観的にいきましょう!精神的なタフさも必要です。宇都宮大学は最近3C精神、チャレンジ、チェンジ、コントリビューションというものをキャッチフレーズにしているみたいですが、皆さんも失敗を恐れずに大胆にチャレンジして欲しいです。そういったチャレンジが皆さんの未来を切り開く力になるんじゃないかと、期待しています!◆取材を終えて製造業の最先端を支える企業、その最前線を力強く牽引する先輩の、驚異的な献身、努力、忍耐のお話にとても感銘を受けました。自分はまだまだ若輩ですが、いつか遠藤さんのような立派な技術者になりたいです。工学研究科博士後期課程システム創成工学専攻1年 柿木泰成3●UUnow第43号 2017.7.20一貫して効率良く製造・出荷できるような仕組み、レイアウトを考えました。前からやりたかったことを少しは具体化できて、非常にやりがいを感じたプロジェクトでした。辛かった思い出は多いです(笑)。2006年に生産力増強のため新規に工場を設置し、そこに以前の生産拠点を移転するというプロジェクトがありました。その移転作業に手間取りスケジュールどおりに進みませんでした。タイミングが悪いことに引越しの最中に景気が良くなっちゃって(笑)生産ノルマはこなせないし、経営トップに叱られ大変な思いをしました。結局、全社をあげた支援により窮状から挽回することができましたが、こういう時は本当に一人で悩んでいても解決しないですね。ピンチの時にはきちんと声をあげなきゃいけないです。■失敗を恐れず大胆な挑戦を―最後に後輩に向けたメッセージをお願いします自分の今の仕事内容は大学時代に学んだ内容とは全く違うけれど、仕事の取り組み方と大学での実験、実習、研究への取り組み方は、プロセス、やり方がほぼ一緒です。皆さんも、大学での学びは知識、ノウハウを獲得することを目的とするよりも、研究、実験に取り組むことで、将来の仕事のプロセス、やり方を学んで欲しいです。その際結果が100点、パーフェクトであることを目指さなくてもいいと思います。その時々で最良最善の方法を選択し、立ち止まらずに少しでも前に進む。そういうことも学んでいって欲しいです。また、失敗が良い経験になることは間見学で日産栃木工場へ行った時に、車体の溶接ラインのロボットを見て強烈な印象を受けました。そのロボットも、実はファナックのものだったんです。こうして就職先として真剣に検討することになったのですが、改めてファナックのことを調べたら、株価日本一で無借金の優良企業。当時1000人程度の会社の規模も好印象でした。宇大からは誰も行ったことがない会社のようで、ちょっと不安はありましたが、面接を受けたらすぐに入社が決まりました。入社後は、情報処理が得意だったこともありソフトウェアの開発をやらないかと言われましたが、もう少しハードウェアよりの開発をしたいと言ったら、モータの開発担当になりました。当初、モータは既に確立された技術で、新規に開発する余地はないのではないかと思いましたが、それは大間違いでした。例えば、ネオジウム磁石を使った最初のモータ開発、この仕事は面白かった。ネオジウム磁石を使うことで既存のモータを半分のサイズにできたんです。開発の業務は本当に大変だけれど、職場の雰囲気も良く、今ではモータの開発に携われたことは本当に幸せだったと感じています。―仕事のやりがい、辛かったこと、印象に残っていることについて教えてください2014年9月に全くの偶然で、故郷の栃木に工場を作ることになりました。まっさらの土地から始めたら普通は3年かかるところ、「2016年10月に稼働開始!」と言う目標に向かって、必死に取り組みました。自分がリーダーになって工場を立ち上げる機会はそうそうないですよね。壬生の広い平坦な土地を活かして、素材の入荷から完成品の出荷まで【写真撮影:今井正明】 工場見学にて、学生たちにロボットの説明をする遠藤氏遠藤氏を囲んで学生たちによるインタビュー(壬生工場会議室にて)するか、非常に悩みました。そこで、当時出たばかりのPC-9801(当時最先端の16bitパソコン)で画面にグラフィック表示させ、それを8ミリカメラで1コマずつ撮影してアニメを作り、修士論文や学会の発表に使いました。今の学生さんには想像もつかないようなアナログかつ体力勝負の作業で非常に苦労しましたが、とてもいい思い出です。■ファナックの産業用ロボットとの衝撃の出会い―現在の仕事を志した理由・きっかけはどのようなものでしょうか?流体力学を学んだ遠藤さんがファナックに就職というのはどういういきさつなんですか?当時、ファナックは全然知名度がなくて自分も正直知らなかったのですが(笑)、4年生の時JIMTOF(日本国際工作機械見本市)を見に行ったら、展示されているほとんどの機械にファナックの数値制御装置とモータが付いていて、まるでファナックの展示会のようで非常に驚きました。同じころ、機械工学科の工場

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