横浜市立大学 2025
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鶴見キャンパスでは、生命医科学研究科および理学部の学生が学修、研究を行っています。本キャンパスに所属する教員は、学生の指導はもちろん、生命医科学分野における世界的な研究拠点となる事を目指して、研究活動に取り組んでいます。また、生命医科学研究科では、同敷地内にある理化学研究所や、教育研究の950MHz超高感度LC-NMR装置出口を見据えて産業技術総合研究所、国立医薬品食品衛生研究所と連携大学院協定を締結しています。それらに所属する世界トップレベルの研究を背景に持つ研究者が客員教員として教育に参画しています。2024年1月に導入されたスーパーコンピュータ78世界トップレベルの研究設備で学ぶNMR装置スーパーコンピュータ世界最高レベル高感度NMR装置を用いた生体高分子の研究を行っています。NMR(核磁気共鳴)装置は、医薬品等の有機化合物のみならず、細胞や組織を構成するタンパク質、核酸、脂質等の生体分子を、非破壊的に原子レベルで観測できる卓越した研究機器です。鶴見キャンパスには500、600、700、800、950MHzとさまざまな静磁場強度の超電導磁石を持つNMR装置があります。中でも950MHz-NMRは世界トップレベルの感度を誇り、高速液体クロマトグラフィーで分離した化学物質をリアルタイムで検出できるように設計されています。これにより、超微量の代謝物質等を分解される前に同定でき、より大きな生体内タンパク質の立体構造や触媒作用に関するダイナミクスも解析できるようになりました。NMR解析から得られる情報は、新たな生命現象の解明の他、タンパク質が関与する疾病の原因究明、薬剤設計等の創薬研究、機能性食品の開発等、多岐に活用する事ができ、最先端の研究を推し進める事が可能となります。さらに950MHz-NMRは溶液の試料だけでなく、神経変性疾患の原因であるアミロイド等固体の試料でも測定できるようになっており、外部の大学や企業からの研究者にも広く利用されています。バイオ研究分野の分析を促進させるスーパーコンピュータHPE Apollo n2600 Gen10 Plus HPC Clusterは、2024年1月に導入されたスーパーコンピュータで、3584個の計算コアからなり、160.5TFLOPSの性能を持ちます。このシステムの導入により、タンパク質立体構造の情報解析等さまざまな生命科学や創薬の研究分野がより推進されるものと期待されています。「バイオインフォマティクス」という研究分野は、その名前の通り、バイオ(生物学)とインフォマティクス(情報科学)が融合した研究分野です。「生体分子シミュレーション」は、DNAやタンパク質といった生体分子の機能や構造のあり方を、コンピュータの中で明らかにしようとする技術で、コンピュータの中で創薬を行う「インシリコ創薬」にも応用されています。さらに、最近進歩著しい人工知能(AI)も、バイオ研究や創薬研究に活用されています。このように、鶴見キャンパスでは、スーパーコンピュータをバイオ・創薬研究に最大限に活かすような最先端の研究を行っています。鶴見キャンパス

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