愛知県立大学 研究活動報告 Re:Birth2021
5/12

聞き手:梶原克教(学術研究情報センター長)03イスラム大学蔵の16世紀のサマルカンド紙タシケント国立図書館蔵の17世紀〜18世紀の紙ブハラ国立博物館蔵の1732年の紙地の学芸員の方にこうやって写真を撮ってくださいねと説明をしたり、撮影した画像を転送する方法などを具体的にお伝えしたりもしました。が、サマルカンド紙に関しては、ネットワーク上でデータ収集を続けています。同時に、比較的集めやすい国内の和紙を用いて、分析技術の先行開発をおこなっています。これにより、海外からデータが集まった時にすぐに技術展開が期待できます。現状は、紙の繊維が楮(こうぞ)なのか三椏(みつまた)なのかといった繊維の種類を分類したり、同じ楮の和紙でも産地によって繊維が異なるため、どこで作られた和紙なのかを画像データから自動解析するシステムを作成したりしています。限られた繊維ではありますが、9割ぐらいの精度で原材料の判別に成功しています。連携、国際連携、学部横断的連携、産学公連携など、さまざまな連携研究を目指しています。実際に共同研究を遂−共同研究といえば、2021年4月に研究推進局が新設され、神谷先生がその初代局長として重責を担うことになります。 研究推進局の設置は、第三期中期目標・中期計画策定における改革のビジョンに則り、公立大学としての役割を認識し、これまで地域連携センターに設置されていた「産学連携推進室」をより発展的に継承するものです。研究推進局において戦略的に支援する研究所については、その設置要件に「複数の学部にまたがる学際的なものであること」を必須要件としています。それだけでなく、「産業界または地域と連携して取り組む研究課題」または「国際的研究へと裾野を広げる可能性を追究する研究課題」を有することを求めています。同時に、学際性を意識した萌芽的研究についても、「研究プロジェクトチーム」として支援していきます。もちろん、そのような学際的研究、産学公連携、国際連携は中期目標・計画の重点項目として推進しなければなりませんが、そのためには各分野における基礎研究が重要なことはいうまでもありません。双方のバランスをうまく保ちながら本学の研究を推進したいですね。代表者 | 愛知県立芸術大学 美術学部 教授 柴崎幸次−ご研究の進捗状況はいかがですか。現在は渡航規制がありますので現地調査ができません−本学では新しい研究体制を構築し、県芸大との共同研究者 | 愛知県立大学 情報科学部 准教授 神谷直希、愛知県立芸術大学 美術学部 非常勤講師 岩田明子行されているお立場から、今後の共同研究の可能性についてお聞かせください。 例えば、紙の中に使われている色の解析をおこない、この色はどのような鉱物を砕いて作っているのかなどを明らかにする研究は、県芸大や文化財保存修復研究所との連携の可能性があります。また、本学での学部横断的研究にも関心があります。現在は支持体としての紙を対象に調査していますが、文章と紙の年代が実は違うこともあるかもしれません。コンテンツそのものである文字認識や文章の解析、紙に描かれている挿絵などの歴史研究といったかたちで、人文科学の専門分野との共同研究の可能性が考えられます。−本学には東海地方の古文書を研究されている方もいます。 それに加えて、本学の図書館にも年代物の多くの貴重書が保管されていますので、その解析が、専門領域を越えて相互に新たな知見をもたらす可能性もあります。学長特別研究費など連携を促進する奨励金があるので、そうした共同研究には取り組みやすい状況にあります。Naoki KAMIYAInterview #01神谷直希研究推進局 局長(2021.4.1〜)情報科学部 情報科学科 准教授の解明に関する調査研究について

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る