04in SEARCH of COLL ABORATIVE RESEARCH−本学とウズベキスタンのタシケント国立東洋学−ご自身の2019年5月のウズベキスタン初訪問の愛知県立芸術大学の柴崎幸次先生の研究チームによる−同年8月にはサマルカンド市で開催された国際ウズベキスタン共和国政府と同国ユネスコ常任代表団等の共催による国際会議で、「有形・無形文化遺産の保Re: Birth大学が2019年に学術交流協定を締結しました。締結に至る経緯についてお教えください。 ウズベキスタンは、愛知県公立大学法人理事長の鮎京正訓先生が、20年来法整備支援をされている対象国のひとつです。培われてきたその蓄積を本学が受け継いで、グローバルな展開を拡充する取組の一環として取り入れていきたいと、久冨木原玲学長が考えておられました。また学長が第3期中期計画策定において教養教育を重視されていたこともあり、教養教育センター長である私も2021年度から開始する新しい教養教育カリキュラムの中で、ウズベキスタンに焦点をあてた授業を構想することは価値が大きいと考えました。経緯は?調査にご一緒させていただきました。柴崎先生は和紙の研究をされているのですが、私は仏教を窓口として古代中世の日本の歴史を研究している立場として、研究分野で重なるところもあり同行させていただきました。会議で研究発表をなさっています。存:現在の問題とその解決戦略」というテーマでした。ユネスコ事務局長を始め、世界77カ国から研究者・国家機関の専門家・企業関係者等が参加した大規模なもので、私のほか久冨木原学長と日本文化学部の丸山裕美子先生、先述の柴崎先生も招聘されました。 私は「歴史の復元と文化の創造-ウズベキスタンと日本のつながり」というタイトルで、英語による研究発表を行いました。古い時代に仏教がどのように伝わったかという事実を幾つも挙げて、人間社会の歴史の中でどのような考え聞き手:梶原克教(学術研究情報センター長)ことが多いのですが、ちょうど紀元前後ぐらいから、インド北西部に位置するウズベキスタンの辺りでシャカの思想が大乗仏教化し、世界宗教に生まれ変わり、それがシルクロードから日本に伝わって、日本にも根付いて発展していきました。そうすると、ウズベキスタン周辺が持つ意味が相当大きいことがわかる。実はこれまで仏教伝播におけるインドの位置づけについて理解に苦慮していましたが、近隣のウズベキスタンについて調べ、実際に土地と文化を目にすることで、それまでピンとこなかったものが腑に落ちたのです。連携研究を通して、自分の研究が幅広くなったり複眼的になったりして、あらたに自分の専門を捉え返すことができました。−最後に、その後の共同研究の展開と今後の見通しについてお聞かせください。2020年12月には、タシケント国立東洋学大学主催、筑波大学共催の国際論文集に、本学教員から論文が寄稿されました。また2021年3月にはZoom開催ではありますけれども、タシケント国立東洋学大学の学生学術フォーラムに本学の大学院生3名が参加する予定です。今後の本学の国際戦略としても、大事な個性になると確信しています。方、価値観、思想が両国をつなげているかということも考え報告しました。仏教の場合、ウズベキスタン辺りで大乗仏教化したとき、慈悲、不殺生、和合といった本質的な言葉を用い、普遍的な思想になったのですが、これが大乗仏教で僧侶以外にも拡大して、ソグド人という商人たちによってシルクロードから東アジア、日本まで広がるのです。国境を越える普遍的思想が日本に到達して消えることなく、それを重視した思想が日本列島からも芽生えてきます。こういった2千年くらい前からの長い歴史的背景が、今後の両国だけでなく、世界の人が共存する上での大事な思想的遺産になるのではないか、文化遺産といった場合、文化財ももちろん大切ですが、価値観、思想の遺産も参照するに十分値するのではないかという報告をしました。−国際・学際連携研究をおこなってみて、先生のご研究自体に何か変化はありましたか。日本史における仏教研究では、東アジアを視野に入れるMichio KAMIKAWAInterview #02上川通夫教養教育センター長日本文化学部 歴史文化学科 教授本学とタシケント国立東洋学大学との国際連携研究についてインタビュー#02
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