愛知県立大学 研究活動報告 Re:Birth2021
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06Re: Birth in SEARCH of COLL ABORATIVE RESEARCH− 今回の学長特別教員研究費による共同研究は、どのような経緯で始められたのでしょうか。ステム」(以下AiMISと表記)という制度があります。外くことを目的としたシステムで、医療通訳者を養成し、医す。本学は2007年度から社会人を対象とした「医療分で、2011年のAiMIS設立時から協力しており、現在も本学教員がAiMIS推進協議会と通訳養成専門会議の委員を務めています。また、2017年には愛知県多文化共語コミュニケーション支援に向けて」を開催しました。 そうしたAiMISを通じた関わりの中で、医療通訳者のえてきました。いっぽうで、利用者である保健医療機関側と患者側からの意見や評価を調査することも、課題の発見と解決に不可欠だと思うようになりました。 医療通訳の研究は、この数年で全国的に広がってきています。私自身も厚生労働省研究班で共同研究「医療緯もあり、AiMIS推進協議会において、愛知県でも医療その結果、名古屋医療センターの医師の方にもご協力いただけることになり、また、本学の百瀬由美子副学長にご相談したところ、「学内の共同研究として実施してみましょう」とのご提言を受け、本研究を開始することになりました。糸魚川 愛知県には県が運営する「あいち医療通訳シ国人住民と保健医療機関のあいだの言葉の壁を取り除療機関へ派遣したり電話通訳をおこなったりしていま野ポルトガル語スペイン語講座」を開設していた関係生推進室との共催で、シンポジウム「医療現場での外国方から現場の声を聞くことができ、さまざまな課題が見通訳の認証のあり方に関する研究」をおこなっていた経通訳に関する調査を行うことをご提案申し上げました。正しい医療上の意思決定ができないという問題もありますし、手術内容が正確に伝達できているのか、安全に手術を受けられる状況だと理解されているのか、などという不安もあります。外国人医療においては、医療そのものに加えて、コミュニケーションの課題を解決することもとても重要です。−今回のご研究は、産学公連携の公である行政との共同研究でもあり、他大学(京都大学)との連携も含まれています。糸魚川 4学部の教員で意見を出しあい、アンケート項目を検討し、質問紙とオンラインによるアンケートを実施しましたが、調査自体がAiMISの利用に関するものなので、システムの事務局である愛知県多文化共生推進室のご協力が不可欠でした。京都大学の研究協力者については、オンラインアンケート実施の経験が豊富で、ノウハウを持っている方でしたのでご協力いただきました。−研究の進捗状況についてはいかがでしょうか。糸魚川 インタビュー結果はおおむねまとめ終わり、紀要論集など3つの媒体ですでに発表済みです。調査結果をふまえた分析はこれからの作業となります。 アンケートについては、AiMIS利用患者を対象にした調査を3か月間実施し、現在、回収と集計をしています。まずは集計が終わった段階で、結果の公開を目的とした報告会を開く予定です。続いて、アンケート調査から多くの課題が見えてきているので、それを現実的に可能な範囲で、どのように医療現場の改善にフィードバックできるのかについて検討を重ねてゆきます。さらに、調査に協力 2019年度にはすでに、三つの医療機関と通訳者数名に対して、AiMISと外国人医療に関してインタビューを実施していました。2020年度はその結果を踏まえ、AiMISに登録している147の医療機関、288名の医療通訳者、そしてシステムを利用した患者という三者に対してアンケート調査をおこないました。−どのようなかたちで学部間連携がおこなわれたのでしょうか。糸魚川 医療通訳に関する調査は医療現場でおこない、また外国語を使うため、医療分野の知識と外国語の知識の両方が必要となります。そこで学内では、必然的に看護学部と外国語学部が連携し、それぞれ3名ずつの教員が研究分担者となっています。さらに多面的に研究できるように、教育福祉学部と情報科学部からもそれぞれ1名ずつご協力いただき、4学部が連携しています。関わってくださる先生方の専門分野の視点からご意見をいただきアンケート調査を精査できたところに、複数学部による共同研究の成果があると思います。−百瀬先生の本研究におけるお役割をお聞かせください。百瀬 私は看護学部に所属していますので、調査で使用するアンケート票を作成する際に、医療分野の視点からの意見を出したり、医療現場の情報を提供したりするという形で共同研究に携わっております。 近年、病院における外国籍の患者数が増加する傾向が見られますが、それに応じてさまざまな問題が生じています。たとえば、受診時のコミュニケーション不足のためににおけるおよびに関するインタビュー#04愛知県外国人診療医療通訳研究

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