愛知県立大学大学院 人間発達学研究科 2021
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GRADUATE SCHOOL OF HUMAN DEVELOPMENT博士論文題目■障害者教育における「合理的配慮」の意義と課題-韓国の現状と社会福祉的背景-■James P.Comerの「学校開発プログラム」研究-米国都市学区における貧困・マイノリティ家庭の子どもの学習・発達保障の取り組み-■乳幼児期における自己鏡映像理解-定型発達児と自閉症スペクトラム障がい児の比較から-■体育科教育における戦術・技術認識の形成過程に関する研究■幼児期におけるコオーディネーション能力の形成に関する研究-投動作における定位能力・分化能力に着目して-■色彩環境が身体運動能力に及ぼす影響■幼児期における多義図形認知の発達-表象発達からのアプローチ-■公立小学校における特別な教育ニーズのある児童を含むすべての児童へのスクールワイドの多層支援モデルの開発06授業紹介教科カリキュラム開発研究特講精神医療史研究特講この講義のテーマは、体育科教育・スポーツ教育のカリキュラム開発研究の探究ですが、隠れたテーマは院生の博士論文執筆力量の形成です。カリキュラム開発研究をする上では、体育の存在意義や存立根拠を問うことから始める必要がありますが、この問いと院生自身の博論のテーマを結びつけながら、現在は関連文献を読み、”リサーチ・クエッション”と論文の構想を精緻化するために、博士後期課程の3 年生(D3)、2 年生(D2)も交えて徹底的に議論しています。〈担当教員丸山真司〉この授業では、必ずしも知識の伝達ということには重点を置いていません。博士後期課程の院生にとって最も重要なことは、知識ではなく、研究方法論や論文作成のテクニックでもないでしょう。それは、自分で課題を見い出し、研究成果の形にまで持っていく力を養うことだと思います。ですから、受講者の関心や方向性を共有しながら、一緒に研究を楽しく語りあうことを心がけています。授業を通して、私自身が学ぶことも多いです。〈担当教員橋本明〉この授業は、とりわけ体育科教育学を研究領域とする院生が多く受講しています。各院生は幼児から中学校・高校に至る体育実践の諸問題を視野に入れ、日本だけでなくドイツやペルー、イギリスの体育科教育・スポーツ教育を研究しています。そのため、子どもの発育発達や体育に関する制度的現状等を幅広い視点から捉えることができ、院生が各自の博士論文のテーマと結びつけながら議論を進めています。講義内容については、博士論文の構想を精緻化するために、研究の軸となる関連文献に当たり理論的基礎を固め、さらに院生と先生の議論によって研究方法等を明確化していきます。このように、各院生の研究動向に基づき授業が展開されるので、そこから多くのヒントをもらい、新たな知見を得た上で、自身の研究に活かすことができます。また、講義は院生同士の活発な議論が中心となりますが、適宜先生が助言し、院生も一研究者として共に学び合う内容になっています。この授業では、日本の衛生に関する行政のうち、特に戦後の精神衛生行政に、国、当事者、専門職をはじめとしたアクターがどのように関わり、形成されていったのか、さらに、専門職の役割はどのように変化したのか、という博士論文の研究課題に寄せて、先生と探求しています。授業では、まず院生の関心を先生と共有し、研究課題にしていきます。自分の関心を研究課題に寄せる方法の1 つとして、史資料の収集の仕方を学びます。次に、自分のフィールドワークも活かし、様々な現場へ行き、資料を収集します。そして、収集した資料を整理し、読み解きます。現在は、収集した資料から、愛知県、岐阜県において、戦後に精神障害者をとりまく衛生行政がどのように行われていたのかについて論議しています。授業は、院生の研究課題や動向に合わせて展開されるため、個別性が高く、主体的に進められます。さらに、先生と一緒に、史資料を通して課題を見つけ、課題を多角的に検討をするという経験を通して、研究を学ぶことができます。新たに得た知見を自分の研究に活かすことができるため、とても有意義で楽しい時間です。(受講者西本彩香)(受講者加納裕久)

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