愛知県立大学大学院 国際文化研究科 2022
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18AICHI PREFECTURAL UNIVERSITY瀧内 陽 准教授[たきうち はる]■授業科目イギリス文学・文化研究■専門・専攻領域英文学、20世紀イギリス児童文学■最終学歴ニューカッスル大学大学院博士課程■学位PhD研究内容・教育方針 研究内容:主に20世紀後半のイギリス児童文学における多様性や多文化主義の発展を労働者階級出身作家や移民の作家を中心に研究しています。研究テーマと児童文学の特性上、文学研究でありながら社会学や教育学の文献を読むことも多いです。 教育方針:イギリス文学・文化を研究するためには、作品を精密に読み、先行研究を調べるのはもちろん、テクストの分析方法や理論、歴史的文化的背景に関する知識等も必要となりますが、なにをするにもまずは英語の文献を大量に読むことができる力が必要になります。授業では現代イギリスの小説や関連する文献を英語で読みながら文学研究に必要な力を鍛えていきます。業績 ●On the Brink of Righteousness and Respectability: Criminal and Law in Dickensʼ Oˡiver Tʷist (外国語学部紀要 言語・文学編 第45号 2013) ●On the Brink of Righteousness and Respectability(2): Binary Opposition and Suspension of Disbelief in Dickensʼ Oˡiver Tʷist(国際文化研究科紀要 第14号 2013) ●Dick Whittington is Contingent on Materialism: Flawed Capitalism and Fraudulent Enterpreneurship in Dickensʼ Martin Cʰuzzˡeʷit(外国語学部紀要 言語・文学編 第46号 2014)榎本 洋 准教授 [えのもと ひろし]■授業科目イギリス文学・文化研究■専門・専攻領域ヴィクトリア朝文学文化(イギリス絵画)、ディケンズ■最終学歴同志社大学大学院文学研究科博士課程後期中退■学位文学修士研究内容・教育方針 研究課題を以下、簡単に記す。①ディケンズと同時代作家の関係について:初期ディケンズを考えるときは同時代のピアス・イーガン、サーティーズ、マーティノー、フックなどの関係を無視することはできない。これらの作家は、今では忘れられた存在だが、18世紀のスモレット、フィールディングとディケンズを繋ぐ役割をも果たしている。また、功利主義批判という観点からディケンズの社会批判のあり方を模索している。この際、中心となるのは功利主義思想とその文学的受容、財産相続のあり方、ディック・ウィッティントン神話など。②歴史小説について:ヴィクトリア朝では多くの歴史小説も書かれた。キングズリー、リットン、スティーヴンソンなどの歴史小説を読むことで、ヴィクトリア朝人の歴史観(過去に対する態度)を考察していく。③パブリック・スクールを舞台にした小説。④ヴィクトリア朝特有のクリスマスの物語など。以上、研究対象はディケンズを軸に前後の男性作家が中心となる。業績 ●(共著)谷川道子、秋葉裕一編『演劇インタラクティヴ 日本×ドイツ』早稲田大学出版部、2010年3月 ●(共訳)エリカ・フィッシャー=リヒテ著『パフォーマンスの美学』論創社、2009年10月 ●(単著)「ブレヒトを聴く/読む──ハイナー・ゲッベルスの音楽劇の試みを手がかりに」(中島裕昭編、日本独文学会研究叢書054)2008年6月 ●「新しい世紀におけるハイナー・ミュラーの〝後継者たち〟」(アルネ・クラヴィッター編、日本独文学会研究叢書120『旧東ドイツの文学における公共性』所収)2016年10月四ツ谷 亮子 准教授[よつや りょうこ]■授業科目諸地域文学・文化研究■専門・専攻領域ドイツ文学、現代演劇、舞台芸術論■最終学歴東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得満期退学■学位修士(文学)研究内容・教育方針 現代ドイツ語圏の舞台作品を、上演のための文学テクストおよび実際の上演の両面から分析することで、従来の「戯曲」の枠を大きく逸脱する、パフォーマティヴ(上演のさなかに現前する行為遂行的)な「テクスト」の多様性を追究しています。このような「テクスト」の上演は、演じ手と観客の位相の変化をも伴うため、1990年代以降の劇場システム、文化政策の変遷についても併せて研究を試みています。授業では、現代にいたるドイツ語圏文学と演劇のかかわりを、20世紀末以来の研究成果を踏まえ通史的に考察する一方で、ポイントとなる劇作家たちの作品の原書による精読・分析をおこない、文学テクストの内実、すなわち、ある作品が書かれるための歴史的(・作家の個人史的)な必然性と、作品(文体)のもつ強度を双方向的に読み解いていきたいと考えています。業績 ●『学術研究と文学創作の分化─18世紀後半イギリスの古詩編集』(単著)音羽書房鶴見書店、2015年。 ●“Shakespearean Ballads in Thomas Percyʼs ʀeˡiques of Ancient Enɡˡisʰ Poetry: Transition from Oral Songs to Printed Historical Documents.” Textuaˡ Cuˡtures (Society for Textual Scholarship, Indiana University Press) 10:2, 107‒125, 2018. ●“A Fragmentary Draft as the Groundwork for Bloodthirsty ʻSir Caulineʼ in Thomas Percyʼs ʀeˡiques of Ancient Enɡˡisʰ Poetry: British Library, Add MS 39547, f. 157v.” Tʰe Eˡectronic ʙritisʰ ʟibrary Journaˡ, 2018.三原 穂 准教授[みはら みのる]■授業科目イギリス文学・文化研究■専門・専攻領域18世紀英文学、文献学■最終学歴大阪大学言語文化研究科博士後期課程■学位博士(言語文化学)研究内容・教育方針 編集や文献学に関心をもちながら18世紀英文学研究を行っております。文学的創造が、材料を集めた後、必要なものをつけ加えて、不要なものを削ぎ落して、材料どうしを結びつけたり、引き離したり、組み換えたりする編集行為であるとすれば、文学は編集と強く結びつくものであると言えるでしょう。編集研究から切り離された文学研究では、作品が生み出される前にみられた、そして印刷紙面の外で展開された、編集に関わる動きは研究の対象外にされてしまう傾向が強いように思われます。しかし、その前と外にこそ、文学の根本と直結する重要なものが存在するはずで、編集をキーワードにした研究によってこのことを明らかにすることができると確信しています。業績 ● Esthetique musicale de Proust(パリ第3大学博士論文,1995年) ●« Proust et les derniers quatuors de Beethoven »(Etudes de langue et litterature francaises, no.70, 1997年)原 潮巳 准教授 [はら しおみ]■授業科目諸地域文学・文化研究■専門・専攻領域フランス語圏文学・文化■最終学歴パリ第3(新ソルボンヌ)大学第3課程■学位文学博士研究内容・教育方針 授業等では、長年、研究対象としてきたプルーストを中心として、19、20世紀のフランス小説を取り上げることが多い。研究としては、19世紀末から20世紀初頭にかけての、ベル・エポックと呼ばれるフランス文化を対象としている。つまり、文学のみならず、様々な文化的事象について、社会的歴史的コンテクストと結びつけて幅広く考えることを目指している。張 文菁 准教授[ちょう ぶんせい]■授業科目中国文学・文化研究■専門・専攻領域中国語圏の通俗小説・台湾文学・中国近現代文学■最終学歴早稲田大学中国語・中国文学専攻博士課程■学位博士(文学)研究内容・教育方針 私の専門分野は戦後の台湾文学です。1895年から1945年までの日本植民統治を経験した台湾が、どのように戦後初期から中国語図書市場を構築したかについて、通俗小説を軸に研究しています。作品の出版や流通をめぐる、作者・読者・貸本屋・文壇・メディア・市場・文化政策など、多角的な視野から分析することで、従来の文学史を再解釈しています。 大学院での教育は、3つの段階が重要だと考えます。まずは、作品や論文を分析する段階において文学・文化理論の知識を学びます。次に、原典や情報を大量に読解する段階での語学力の強化、最後が独自の問題意識を構築し、論理的に整理する段階になります。いずれの段階において、学生が自らの情報を発信できるプレゼンテーション力(レジュメやPPTの作成を含む)、さらに議論する力の養成にも重点を置きます。業績 ●ʙritisʰ Workinɡ︲Cˡass Writinɡ for Cʰiˡdren: Scʰoˡarsʰip ʙoys in tʰe Mid︲Tʷentietʰ Century. Palgrave Macmillan. 2017.(単著) ●「ロバート・ウェストールの『青春のオフサイド』における奨学金少年の孤独」『児童文学研究』第51号、2019年、pp. 107‒123. ●「1960年代・70年代イギリス児童書出版における階級:Aidan Chambers のToplinersとLeila BergのNippers」『Tinker Bell 英語圏児童文学研究』 第62巻、2017年、pp. 81‒95.

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