愛知県立大学大学院 国際文化研究科 2022
21/32

19AICHI PREFECTURAL UNIVERSITY業績 ●「EU経済のグローバル化とフランスの変貌─グローバリゼーションに立ち向かうEUとフランス─」『土地制度史學』土地制度史學会,第175号(2002年4月) pp.44‒53. ●「EUにおける経済政策協調─展開と論点」『愛知県立大学外国語学部紀要 地域・国際学編』第38号(2006年3月)pp.53‒80.野内 美子 教授[やない はるこ]■授業科目ヨーロッパ政治経済研究■専門・専攻領域EU、フランス経済■最終学歴東北大学大学院経済研究科博士課程後期単位取得満期中退■学位博士(経済学)研究内容・教育方針 私の専門はEUの経済政策分析です。EU(欧州連合)は、欧州各国間の対立を克服して「1つのヨーロッパ」をつくろうという欧州統合運動の現時点での到達点です。第二次世界大戦後、度重なる戦争により多大な物的・人的被害をこうむり、また国際社会における地位の低下を経験した欧州諸国は、「平和で豊かな1つのヨーロッパ」の構築をめざして、まず経済統合を進め、さらには政治統合に乗り出します。戦後の欧州統合運動は、かつて敵同士であったフランスと(西)ドイツに加えてベネルクス3国とイタリアの6カ国で始まり、2015年時点でのEU構成国は28カ国で、域内人口は米国の人口を超え、経済力も米国に匹敵する程です。今日の世界経済の中でEU経済の占める比重は非常に高いと言えるでしょう。私の研究・教育においては、従来ドイツと共に欧州統合主導国であったフランスに焦点をあて、フランスの経済政策・欧州政策の展開とEUの発展過程との関連性を明らかにしていくつもりです。業績 ●「外食企業のグローバル化と海外進出戦略」大島一二 他編『日系食品産業における中国内販戦略の転換』筑波書房、2015年、pp.154‒167. ●「中国における研修生派遣企業に関する一考察─中国山東省青島市の事例より─」『農村生活研究』第57巻 第1号、日本農村生活学会、2013年9月、pp.32‒39. ●「変わりゆく中国農村」工藤貴正・樋泉克夫編『現代中国への道案内 Ⅱ』白帝社,2009年,pp.313‒340.西野 真由 教授[にしの まゆ]■授業科目中国政治経済研究■専門・専攻領域中国農業経済、中国のフードシステム研究■最終学歴東京農業大学大学院農学研究科農業経済学専攻博士後期課程修了■学位博士(農業経済学)研究内容・教育方針 私は主に中国における地域間の人口移動について研究を行っています。中国は、改革・開放政策実施以降、飛躍的な経済成長を達成しましたが、その一方で、国内では、解決しなければならない課題が山積しています。例えば、所得格差の拡大や深刻な環境問題、食糧問題、資源確保問題など様々な問題が噴出しています。 近年、拡大する所得格差を背景に、地域間の人口移動は増大を続け、都市・農村社会に様々な影響をもたらしています。本講義では、中国の農業・農村問題、なかでも地域間の人口移動問題を通して中国の構造的な課題について理解を深めていきたいと考えています。業績 ●単著『フランス地域民主主義の政治論─分権・参加・アソシアシオン─』(御茶の水書房、2005年) ●単著『市民社会を鍛える政治の模索─フランスの「近隣民主主義」と住区評議会制─』(御茶の水書房、2015年)中田 晋自 教授[なかた しんじ]■授業科目ヨーロッパ政治経済研究社会文化研究特講(博士後期課程)■専門・専攻領域政治学(フランス都市政治研究)■最終学歴立命館大学大学院法学研究科公法専攻博士課程後期課程満期退学(1999年)■学位博士(法学)〔立命館大学、2006年9月〕研究内容・教育方針 中央集権国家の典型とされるフランスが、1980年代に至って地方分権改革(ミッテラン政権下の1982年)を実施した背景について明らかにすべく、その前史たる1970年代の分権論議や歴代政権の地方分権政策について検討すると、フランスの1970年代がまさに「分権・参加・アソシアシオン」の時代であったことがわかる。フランス革命以来の伝統的政治文化を転換させるエネルギーが発揚されたこの時代、都市自治体における分権化要求運動のなかから「地域民主主義(la democratielocale)」の理念が提起され、この理念はその後、法制度化の過程をたどる。そして現在では、2002年の「近隣民主主義法」により、人口8万人以上の都市コミューンに「住区評議会」の導入が義務づけられており、50都市におけるこの実践は、「熟議 = 参加デモクラシー」研究の観点から極めて興味深い事例となっている。以上のような問題関心を踏まえ、大学院の授業では、フランスの分権・市民社会論者による研究業績の読了・検討を中心に、フランス政治の新たな動向をフォローしていく。業績 ●Hajime KONNO, Max Weber und die polnische Frage, Baden-Baden: Nomos 2004. ●今野元『マックス・ヴェーバー』(東京大学出版会、平成19年)。 ●今野元『多民族国家プロイセンの夢』(名古屋大学出版会、平成21年)。今野 元 教授 [こんの はじめ]■授業科目ヨーロッパ政治経済研究 社会文化研究特講(博士後期課程)■専門・専攻領域ヨーロッパ国際政治史、ドイツ政治思想、日独関係史■最終学歴東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了■学位Dr. phil.(ベルリン・フンボルト大学)・博士(法学)(東京大学)研究内容・教育方針 19世紀ドイツを中心に欧米世界の政治史・政治思想史を研究している。人間における理性と情念との葛藤が関心の対象で、とりわけナショナリズムや宗教的情熱が政治に与える影響について考えてきた。従来は西欧派ドイツ・ナショナリストとしてのマックス・ヴェーバーに焦点を当ててきたが、近年ではフランス革命から現代まで視野を拡げ、ドイツ政治史の多様な側面に取り組んでおり、また近現代日独関係史にも分析を拡げつつある。 大学院教育において重視するのは、語学力及び史料解析能力である。外国研究において、語学力の向上に努めるのは当然のことだろう。加えて重要なのは、収集した史料から多用な情報を引き出す解析作業であり、それは丁度ソムリエがワインの微妙な違いを言い当てるのに似た営みである。大量の研究文献を大雑把に読んで概括するのではなく、一つの史料、いや一つの文章を徹底して読み込み、そこから何かを引き出す地道さ、堅実さを、大学院生には求めたい。業績 ●『賢者ガルシアロブレス伝 国連憲章と核軍縮に取り組んだ外交官』(2015) ●『大使館国際関係史─在外公館の分布で読み解く世界情勢』(2009) ●「ユートピアニズムの解剖─『危機の20年』と大戦間期の国際仲裁─」(2007) ●「平和案としての国際仲裁─19世紀中葉における市民社会、議会、国家理性─」(2004)木下 郁夫 教授[きのした いくお]■授業科目国際関係論研究■専門・専攻領域国際機構・国際紛争、外交関係■最終学歴早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得後退学■学位政治学修士研究内容・教育方針 もともとは「ガバナンス」という言葉に関心をもって、国際政治の「かたち」がどういうものかを探求していました。「アメリカの世界支配」とか、もっと古典的に「国民国家システム」とかよく聞くでしょう。自分が関心があったのは、そうしたメジャーなところよりもむしろ国際機構や国際法のような「ユートピアン」と蔑まれる領域のほうでした。とくに仲裁です。現実主義者は、そんなものは存在しない「理想」にすぎないと酷評しますが、19世紀には仲裁はたくさんおこなわれていたのです。ですから、それはまぎれもなく「現実」でした。しかも、自由主義とよばれる当時の世界秩序に機能的にもフィットしたものでした。でも、つい先日まで、ある出版社にさそわれて本を書くことになり、大使館や外交関係にいれこんでいました。このテーマも「かたち」の探求という意味で、これまでの研究の延長といえるはずです。「教育方針」は紙幅がなくなったので一言で。お互い自立した研究者になりましょう。田邊 まどか 講師[たなべ まどか]■授業科目諸地域文学・文化研究■専門・専攻領域スペイン文学、16・17世紀の詩と詩論■最終学歴コルドバ大学■学位博士(文学)研究内容・教育方針 研究内容:16・17世紀のスペイン文学、特に詩を研究対象としています。具体的には、ゴンゴラとケベドというこの時代を代表する詩人の作品にはまだ解明すべき部分が多く残っているため、それらを当時の知的背景をもとに読み解き、新しい解釈を提示することです。通時的研究だけではなく、同時代の知識人が作り出す仮想的な共同体も作品の知的背景の一つと捉え、そこで共有されていた文学の概念の解明も研究課題としています。 教育方針:大学院以降の研究では、自らの解釈や発想を研究史のなかに位置づけて主張することが求められます。そのため、日本での研究の蓄積が比較的少ないスペイン文学研究においては特に、基礎研究の段階からスペイン語または他のヨーロッパ言語での資料の多読が必要になります。この段階を早く越えて、自らの研究を検証し発表することができるよう指導を行います。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る