愛知県立大学大学院 国際文化研究科 2022
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24AICHI PREFECTURAL UNIVERSITY福岡 千珠 准教授[ふくおか ちず]■授業科目英米歴史社会研究■専門・専攻領域社会学、アイルランド研究■最終学歴京都大学大学院 人間・環境学研究科■学位博士(人間・環境学)研究内容・教育方針 私は十九世紀半ばから二十世紀半ばにかけて変遷したアイルランドの文化ナショナリズムについて研究してきました。この時期に、英国およびアメリカから見たアイルランド人像が大きく変化し、そして同時期にアイルランドで描き出されるアイルランド人の自己像も変化してゆきます。アイルランド人は、「人種」的に、どのように位置づけられるのか。また、言語的・文化的な意味で「アイルランドらしさ」とは何なのか。こうした問いに対して、さまざまな議論が見られるようになったのです。 授業では、アイルランド研究というよりは、むしろ「人種」や「国民」をキータームに、自己および他者、そしてその文化がいかに表象され、どのように変化していったのかという点を考えていきたいです。業績 ●ʻSustaining British Naval Power Through New England Masts During the Seven Years Warʼ, The Marinerʼs Mirror, vol. 106, 2020. ●「18世紀前半のブリテンにおける船舶必需品生産計画の形成―植民地政策における商務院と海軍の相互関係―」『西洋史学』第261号、2016年。 ●「一八世紀前半ブリテンの北米植民地鉄産業を巡る言説:勧業と統制」『史観』第173冊、2015年。日尾野 裕一 准教授[ひおの ゆういち]a■授業科目英米歴史社会研究■専門・専攻領域近世・近代イギリス史、帝国史、大西洋史、移民史■最終学歴早稲田大学文学研究科博士課程西洋史学コース修了■学位博士(文学)研究内容・教育方針 18、19世紀のイギリス大西洋世界を主な研究対象としています。特に、北米大陸の資源開発政策、北大西洋世界におけるイギリス海軍、北米大陸やカリブ諸地域への移民政策といったものに焦点を当てています。イギリスが北大西洋の両岸に展開する中、カナダから西インド諸島までのアメリカにどのように関与していったかを示すことで大西洋帝国としてのイギリスの特徴を示すことを目的としています。 授業では、近年刊行された文献を用いながら、イギリス(イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド)およびイギリス帝国について、政治・経済・社会・文化に至るまで広く学ぶことを重視しています。業績 ●Can a Mestiça be a Hafu?: Japanese-Brazilian Female Migrants and the Celebration of Racial Mixing in Contemporary Japan, Duncan Ryuken Williams, ed. Hapa Japan: Identities and Representations, Vol. 2, 単著,University of Southern California, Kaya Press/Ito Center Editions, 2017年2月 ●メイクアップされるブラジル人移民の生活世界,河合優子編『交錯する多文化社会─異文化コミュニケーションを捉え直す─』,単著,ナカニシヤ出版,2016年12月渡会 環 准教授 [わたらい たまき]■授業科目中南米・新興国地域研究■専門・専攻領域ブラジル地域研究■最終学歴上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士後期課程修了■学位博士(地域研究)研究内容・教育方針 ここ数年はブラジルにおけるジェンダーについて、研究しています。また、国際移動の結果ブラジル人女性が移住先のジェンダー規範にどのような影響をうけるのかにも関心があり、日本とフランスのブラジル人コミュニティでもフィールドワークをしています。大学院の講義でも、グローバル化で急激に変化する社会と文化を捉える力を学生が身につけることができるようにしたいと考えています。どんな研究も、素朴ではあるけれども面白いと感じる疑問から始まります。学生の関心事を尊重し、学生がそれを問題化し論文として展開できるように指導することが、私の教育方針 です。業績 ●単著『国民語の形成と国家建設─内戦期ラオスの言語ナショナリズム』風響社、2013年 ●共著 山田紀彦編『ラオスにおける国民国家建設─理想と現実』研究双書 no.595、アジア経済研究所、2011年(第4章執筆) ●単著『国民語が「つくられる」とき─ラオスの言語ナショナリズムとタイ語』風響社、2008年矢野 順子 准教授[やの じゅんこ]■授業科目中南米・新興国地域研究■専門・専攻領域東南アジア政治、東南アジア地域研究■最終学歴一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了■学位博士(学術)研究内容・教育方針 例外なく多民族国家である東南アジア諸国においては、独立後、植民地的起源をもつ国境線のなかに含まれる多様な人々をどのようにして「国民」として統合していくかが共通の課題となりました。私はこれまで、主としてラオスを対象に、植民地時代~現在に至るまでの国民国家建設過程について言語ナショナリズムに焦点を当て、研究をおこなってきました。授業では、東南アジア諸国のエスニシティや国民統合に関する文献を取り上げ、複雑な民族構成のなかで、東南アジア各国がどのような政策のもとに国民統合を進めてきたのか、みなさんと議論し、考えていきたいと思っています。業績 ●『ベトナムにおける労働組合運動と労使関係の現状』東海大学出版部、2017年。 ●「メコンデルタ─農村の挑戦と課題:果樹栽培への転換と若者の非農業就業の進行」、『アジ研ワールド・トレンド』21(3)、pp.26‒29、2015年。 ●「ベトナムにおける地方雇用機会と農村世帯の就業・家計構造:カントー市ハウザン河氾濫原の一農村における現状から」坂田正三編著『高度経済成長下のベトナム農業・農村発展』アジア経済研究所、pp.149‒176、2013年。藤倉 哲郎 准教授[ふじくら てつろう]■授業科目中南米・新興国地域研究■専門・専攻領域ASEAN 経済、東南アジア地域研究■最終学歴東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了■学位博士(学術)研究内容・教育方針 現在取り組んでいる研究課題は、高度経済成長過程にあるベトナムの農村において、どのような社会経済的構造変容が起きており、それが農村の就労構造にいかなる影響を与えているかを明らかにすることである。周辺のASEAN先発国(タイやインドネシアなど)だけでなく、日本が高度経済成長期に経験した農村における社会経済的変化とも比較しながら、経済成長によるドラスティックな変化のなかで、いかに安定的な地域社会が形成されうるのかということを通低する問題関心として研究をしている。学生には、既存のモデルや理論をあてはめて物事を表層的に理解するのではなく、自分で見聞きした具体的な情報や実態から出発し、自らの疑問をよく考え抜いたうえで物事を総合的に理解しようとする、深い洞察力と柔軟な思考を持ってもらえるようサポートしている。業績 ●「文化の境界─北アイルランドにおける文化理解の可能性をめぐって」2009年、『文化の社会学』文理閣 ●「Borstal Boy の言語戦略─コード・スイッチングおよびコード混交を中心に」2007年、『エール』第27号 ●「アイルランド語とそののにおい」2006年、『エール』第26号

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