愛知県立大学大学院 国際文化研究科 2022
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Graduate School of International Cultural Studies29コミュニティ通訳学コース設置の趣旨 コミュニティ通訳(Community InterpretingあるいはPublic Service Interpreting and Translation)は、医療、司法、教育、行政、福祉等の領域で実践され、外国籍住民など、日本語を母語としない人の基本的人権を保障するために必要な通訳です。 日本で生活する外国籍住民の数は2020年末現在289万人で、この30年間で2.4倍に増えました。愛知県には約27万人の外国籍住民が暮らしており、この数は東京都(約55万人)に次いで第2位です。役所、病院、学校、警察、雇用相談や法律相談、防犯・防災活動など、様々な場面で多言語対応が求められていますが、多くの外国籍住民にとって、依然として言葉の壁、文化の壁、制度の壁、心の壁は大きいままです。 こうした問題は以前から指摘されていましたが、コミュニティ通訳には、語学力のみならず関連分野の知識や高い倫理観が求められます。その指導ができる人材は限られており、体系的な教育を行っている大学はほとんどありません。 こうした現状をふまえ、本コースは、コミュニティ通訳に関する知識やスキルを体系的に学び、専門性を高めていくことを目的とし設置されます。どのような人材を育てるか 本コースでは、国籍に関係なく、以下のような人材の育成を目指します。1) 専門性を持つプロフェッショナルなコミュニティ通訳者(医療、司法、教育、行政、福祉等の分野で必要な知識、異文化理解力、通訳者倫理をみにつけた専門家)。2) コミュニティ通訳コーディネーター(専門知識と語学力を持ち、通訳者とユーザーの間を調整し、社会インフラとしてのコミュニティ通訳を効果的に機能させる人)。3)コミュニティ通訳分野における指導者、研究者となる人。カリキュラムの特長・指導体制 「理論」「実践」「研究者としての能力」の3要素を含み、多文化共生論、現場実務に関する知識、事例研究を含むコミュニティ通訳研究、言語別演習、実務実習、アカデミック・プレゼンテーションに関する科目があります。主な指導言語は日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語です。人間発達学研究科や看護学研究科の一部科目を履修することも可能です。複数の大学院生と教授陣で構成する「合同ゼミ」において、修士論文(または特定課題研究成果)の執筆にむけた指導を行います。 社会人にも配慮し、夜間、土曜日、オンライン等も活用して指導します。入学者▶このような人を歓迎します 現に外国籍住民に対する言語面での支援を実践している方や、医療・司法・教育・行政・福祉等の分野に関わる現職者、有資格者、経験者で高い語学力をお持ちの方、コミュニティ通訳学の研究と実践に強い関心を持つ方を歓迎します。国籍は問いません。コミュニティ通訳学コース国際文化専攻博士前期課程2022年度開設予定

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