愛知県立大学大学院 人間発達学研究科 2023
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●●●平和教育教育課程政策論社会科教育社会福祉学精神保健福祉論ソーシャルワーク論精神医療史宇都宮みのり田川佳代子橋本明久保田貢精神保健福祉領域の歴史を主に研究しています。明治から昭和初期という時代を対象に、①「監護」政策の立案・形成過程、②「精神病」社会事業の実践史、③精神疾患に対する人々の意識形成、という3側面から検証しています。近代の「監護」政策は、理念としての「保護」と、方法としての「権威的取締」に特徴があります。政府によって意図的に形成されたこの両価性が、実施機関や当事者の生活にいかなる影響を与えたかを調べています。アクティヴ・シティズンシップに基づくソーシャルワークやアウトリーチワークについて研究をしています。国から地方へ、自治体から民間へ、政府から市民へ、分権化が進められるなか、市民と行政、専門職との関係性はより自律的であることが求められています。ソーシャル・ケアやコミュニティ・プラクティスの文脈における市民の参加と責任、行政や専門職とのパートナーシップによる協働の創出に関心があります。精神保健医療福祉に関わる国内外の歴史を研究しています。とはいっても、すべてをカバーすることはできません。以前はヨーロッパを対象とすることが多かったのですが、最近は近代日本と旧外地の精神医療の歴史が中心です。ここ数年は、沖縄と台湾で調査をすすめています。一方で、精神医療の歴史に関する移動展示にも力を入れてきました。各地をめぐって、専門家ではない人たちと交流し、精神医療史を語ることを楽しみにしています。二つの研究を中心にすすめています。1.新自由主義イデオロギーが教育課程・教育内容にどのように浸透しているのか、という問題。なぜ新自由主義に対する抵抗がここまで弱体化しているのか、その教育との関連を考察しています。2.アジア・太平洋戦争、日本国憲法についての認識と教育との関連の問題。これと関わって、戦争・憲法についてのモニュメントや資料館の調査もしています。●★●★●★理科教育学音楽教育学音楽心理学美術教育学体育科教育学スポーツ文化論伊藤稔明高橋範行藤原智也丸山真司理科教育史研究をしています。現在の研究テーマは、小学校理科誕生の要因解明です。小学校の理科は、明治10年代の終わりに誕生しました。それまでは、小学校でも物理や化学といった学問ごとに教科が設定されていました。それが統合されて理科となった要因はいまも分かっていません。私の研究では、当時の日本の経済状態から、それが初等教育に与えた影響を分析して、理科誕生の謎に迫ろうと考えています。「音楽は創って学ばなければならない」というのが僕の持論です。創作では学習者が自ら音楽の構造を生み出す必要があり、必然的に音楽の構造や仕組みに関わる理解が促されます。こういった音楽の文法面の理解こそが、音楽の学びにおいて重要であると考えています。残念ながら、自ら音楽を生み出す創作や即興は、研究対象として積極的に扱われてこなかったように思います。それらを支える技能や知識の一端の解明を目指しています。新自由主義改革下における美術の教育政策・文化政策の分析、コミュニティのエンパワーメントや市民性の涵養に関わるデザインや現代アートの事例調査などをしています。近代以降の芸術は、個の「主体性」を問うてきました。しかし現代は、先進国でもそれを無前提にできなくなり、また日本では達成できていなかった近代の問題が露呈しています。このような社会的文脈で、アートがどのような機能を担う必要があるのかを考えています。私の研究課題は、①体育におけるカリキュラム開発についての理論的・実践的解明、②体育の授業づくりに関する教授学的解明、③ドイツにおけるスポーツ教育に関する研究です。現場の教師と共同研究を進めながら実践と理論の往還の中で、体育科教育の現代的課題を解明しようと試みています。人間発達学研究科の大学院生とともに、切磋琢磨しながら“think globally, act locally”な研究活動を展開したいと思っています。●★●★09教員紹介2023 AICHI PREFECTURAL UNIVERSITY

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