愛知県立大学大学院 人間発達学研究科 2023
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■障害者教育における「合理的配慮」の意義と課題-韓国の現状と社会福祉的背景-■James P.Comerの「学校開発プログラム」研究-米国都市学区における貧困・マイノリティ家庭の子どもの学習・発達保障の取り組み-■乳幼児期における自己鏡映像理解-定型発達児と自閉症スペクトラム障がい児の比較から-■体育科教育における戦術・技術認識の形成過程に関する研究■幼児期におけるコオーディネーション能力の形成に関する研究-投動作における定位能力・分化能力に着目して-■色彩環境が身体運動能力に及ぼす影響博士論文題目授業紹介精神医療史研究特講この授業では、必ずしも知識の伝達ということには重点を置いていません。博士後期課程の院生にとって最も重要なことは、知識ではなく、研究方法論や論文作成のテクニックでもないでしょう。それは、自分で課題を見い出し、研究成果の形にまで持っていく力を養うことだと思います。ですから、受講者の関心や方向性を共有しながら、一緒に研究を楽しく語りあうことを心がけています。授業を通して、私自身が学ぶことも多いです。この授業では、日本の衛生に関する行政のうち、特に戦後の精神衛生行政に、国、当事者、専門職をはじめとしたアクターがどのように関わり、形成されていったのか、さらに、専門職の役割はどのように変化したのか、という博士論文の研究課題に寄せて、先生と探求しています。授業では、まず院生の関心を先生と共有し、研究課題にしていきます。自分の関心を研究課題に寄せる方法の1 つとして、史資料の収集の仕方を学びます。次に、自分のフィールドワークも活かし、様々な現場へ行き、資料を収集します。そして、収集した資料を整理し、読み解きます。現在は、収集した資料から、愛知県、岐阜県において、戦後に精神障害者をとりまく衛生行政がどのように行われていたのかについて論議しています。授業は、院生の研究課題や動向に合わせて展開されるため、個別性が高く、主体的に進められます。さらに、先生と一緒に、史資料を通して課題を見つけ、課題を多角的に検討をするという経験を通して、研究を学ぶことができます。新たに得た知見を自分の研究に活かすことができるため、とても有意義で楽しい時間です。〈担当教員橋本明〉(受講者西本彩香)■幼児期における多義図形認知の発達-表象発達からのアプローチ-■公立小学校における特別な教育ニーズのある児童を含むすべての児童へのスクールワイドの多層支援モデルの開発■読み書きの習得に困難を生じる子どもの早期発見に繋がるアセスメントシートの開発■「地域共生社会」の実現に向けたコミュニティソーシャルワーク実践理論に関する研究-コミュニティソーシャルワーカーによる「社会的孤立」支援の実践から-■トランスセオレティカル・モデルを用いた学齢期の睡眠教育に関する研究-睡眠習慣の変容に関する尺度開発に基づく教育内容の構成-博士論文を執筆するうえで重要なことは何でしょうか。私は、研究にかける熱意と自らの「問い」(博士論文のリサーチ・クエッション)を研究として形にしていく力量の両方だと思っています。本授業では、受講者一人ひとりの「問い」を大事にしながら、書籍や論文検討を経て、先行研究の到達点や理論的、実践的課題を明確にしていくプロセスを重視しています。受講者の研究構想を精緻化する一助に繋がればと願っています。この授業は、とりわけ幼児や発達に関する研究をしている院生が多く受講しています。その年度に受講する院生の課題意識や博士論文の研究課題に関して、主に発達心理学の視点から新たな知見が得られるように、書籍を選択し、開講期間に渡って丁寧に読み込んでいきます。院生が担当箇所の報告及び関連事項の説明を行い、提示した論点及び他院生の疑問点等に関する議論を行います。適宜先生から助言や新たな論点を提示して頂きながら、学びを深めていきます。新たな知識を得るだけではなく、院生の研究領域が心理学ではなくても、心理学における考え方やアプローチが自身の研究の参考にもなります。また、各院生の研究内容についての検討の時間もあります。先生からの論文指導という形ではなく、院生も一研究者として他院生の研究に関して共に学び合っています。自身の研究に関して、先生だけではなく、他院生からも意見をいただくことで、研究課題や方法を改めて検討する機会となります。活発な議論を元に、授業が展開され、とても有意義な時間です。発達心理学研究特講〈担当教員瀬野由衣〉(受講者遠座未菜)06GRADUATE SCHOOL OF HUMAN DEVELOPMENT

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