周年記念事業・関連企画愛県大 災害弱者対策・支援プロジェクト日 時:2020年11月1日(日)9:30 〜12:30場 所:長久手キャンパスS101教室 及び オンライン(Zoom)参加者:110名(大学会場:40名、オンライン:70名) 本学は「命の尊厳」を基軸にして地域・愛知・世界の人々と繋がり、全学で「いのちの学びと探究」を進めていくことを大学ビジョンのひとつとして掲げている。本学の5つの学部にはそれぞれ「命の尊厳」に関わる教育・研究の知恵と底力があり、5学部が連携してそのポテンシャルを発信し、多くの県民に知ってもらうこと、県民の声を聞くことがこのシンポジウムのねらいであった。5学部の学部長がシンポジストとして一同に揃い発信するシンポジウムは本学では初めての試みである。 コロナ禍の中にあって、今回のシンポジウムは大学会場での対面方式とオンライン方式(Zoom)の併用で実施した。100名を超える参加者があり、シンポジウムへの関心と期待がうかがわれた。シンポジウムでは、まず5学部の学部長からは各学部で災害や災害弱者支援に対してどのような教育や研究が可能なのかについて報告がなされた。その後、特別報告として、元駐ブルキナファソ特命全権大使の二石昌人氏にはハイチ地震(2010)の際に現地で起こったこと、混乱した状況の中で国際緊急援助隊医療チーム団長としてどのような活動を展開したのかについて臨場感あふれる話をしていただいた。続いて、県民サイドを代表する3名の方からは、災害弱者対策・支援に関わる現場が抱える課題や本学に期待するものは何かについて発言をいただいた。その後の質疑応答では、それぞれの参加者からは県民目線で、現場で起こる 人間社会の災害との向き合い方について、リスクを低減する防災とともに重要なのは、災いから立ち直るための復元力やしなやかさの考え方である。環境学や組織論などの分野では、そうした人間の力をレジリエ生の声を各シンポジストにぶつけ、シンポジストがそれぞれの立場から真摯に応えるという場面が多く見られ、大学と県民をつなぐ視点での議論がなされた。今回のシンポジウムでは、まず大学と地域の現場がお互いに知ること―対話を始めること―本音を語り合う関係を作り繋がること―そして地域が抱える問題や課題と愛県大の教育・研究の繋がりを作りながら共同して活動を進めていくことの必要性が確認された。 今回のシンポジウムについて参加者にアンケートを実施した。アンケートの結果、シンポジウムに”満足した”と答えた参加者が約9割(89%)であった。「各学部がどのように災害と関係しているのか知ることができてよかった」「5学部が同じ土俵で議論できる企画はよい」「県立大学としての使命を感じ取ることができるシンポジウムであった」「ハイチ地震の報告は臨場感があり、興味深く、この感動的講演を学生たちにも聴かせたい」「県や現場の方の生の声が聞けたのは貴重!」というような参加者の感想からも、本学への期待や多くの参加者の関心とニーズに応えるシンポジウムになったと思われる。 これから本学が「命の尊厳」を守るために、地域・現場とともに災害弱者対策・支援に関わる教育・研究を進めていくその第一歩を踏み出す機会となるシンポジウムであった。(周年記念事業実行委員長・副学長(総括) 丸山 真司)ンスという概念でとらえる。本報告では、外国語学部が得意とする多様な文化・価値観への洞察を基本に置きつつ、世界の人びとが災害からいかに立ち直ったか、また回復すべき「平時」の状態をいかに理解し、リスクと向き合っているかについて考察した。そのために、外国語学部教員が専門とする世界各地の調査フィールドから、3つを事例として取り上げた。 最初に着目したのが、2004年スマトラ島沖地震による甚大な津波被害を受けたアチェである。海岸沿いの集落で命拾いをした人びとは、長い避難生活ののち、慣れ親しんだ海辺に戻って集落と生業を再建することを選択する。またその過程で、30年にわたって武装対立を続けた独立運動とインドネシア政府が和平協定を結んだ。アチェは、自然災害と人災からの復興が同時並行で進んだ興味深い事例である。 65【シンポジウム】 「愛県大は災害にどう向き合えるか−5学部からのアプローチ−」[報告内容]1.学部長からの発信 −5学部それぞれの目線から−○ 外国語学部長 竹中 克行 「災いから立ち直る人間社会の力」
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