周年記念事業・関連企画○ 看護学部長 柳澤 理子 「災害時に生命(いのち)を守る、生活(くらし)を支える」愛県大 災害弱者対策・支援プロジェクト障害のある人へのニーズ調査を行ったりしている。今年度からは看護学部や情報科学部と連携した研究の中で、防災・避難計画、避難所、避難後のケア等について障害児者施設等へのインタビューによるニーズ調査も始めている。 災害福祉や防災教育、災害時において災害弱者に寄り添った対策・支援を行える専門職を育てるためには、災害・防災に特化した教育・研究を行うとともに、平時からのコミュニケーションとネットワークづくりができる力量も育てる必要がある。いずれにしても、一方的支援ではなく、相手のニーズを聴き取り必要な支援ができるようになること、双方の特徴や強みを生かした支え合いとなることが重要である。教育福祉学部では、「認知症カフェ」や「学習・生活支援」等に関わりながら教育・研究を行う「地域共生プロジェクト」を推進しているが、地域の方々と結びついた活動を通して多様な立場の人々への理解と共感、つながりが生まれ、その中で、専門職としての自己の役割を再認識 看護学部は、病人、障害者、高齢者、乳幼児、妊産婦など、要配慮者、避難行動要支援者の人々と直接接する機会が多い学部である。災害に関連する看護学部の活動は、次の4つに集約できると思われる。 第一に、災害時に人々を支援する人材を育てる、すなわち教育である。看護学部では、本年度からカリキュラムを改正し災害看護を強化した。災害看護学の一部を日本文化学部、教育福祉学部の学生も受講できるようにするとともに、災害看護学演習を追加した。これらの授業を中心に、災害が及ぼす健康影響、医療救護活動と看護、避難所・仮設住宅などでの支援、要配慮者等への看護、被災者等の心のケア、多職種連携などを学ぶ。 第2に、看護学部がもつ知識や技術を、学生以外の人々、たとえば看護職や介護職などの専門職、要配慮者やその家族などに伝える活動である。防災に関する講演会や研修会、災害対応シミュレーションなどに、看護学部教員が携わっている。することが、コミュニケーション力とネットワークづくりの力量につながると考えられる。 今後、他大学とも連携して教育・福祉の視点だけではなく他分野の視点を含んだ多角的視点からの共同調査・研究を進め、その成果を学生の教育に活かし多職種連携のできる専門職養成を行っていきたい。 第3に、災害に備え、災害時に学生と教職員を守る活動、すなわち看護学部自身の災害対策である。昨年度から力を入れて取り組み、守山キャンパスBCP(業務継続計画、発災直後の学部の対応と授業再開に向けた計画)を作成した。本年度はBCPの試行訓練を行い、本部立ち上げ訓練や学生等の避難訓練を行っている。実際に訓練してみると、課題も明らかになったため、今後も訓練を繰り返し、業務継続マネジメントとして運用していく予定である。 最後に、地域とのつながりを強め防災および発災時の被災者支援に協力する活動、すなわち地域貢献と地域と協働しての研究である。保育所を中心とした災害対策支援に取り組んでいる教員があり、また、病院、エリア支援保育所、高齢者施設、訪問看護ステーションなどと、実習や相談事業などを通して既に連携があるため、災害に関する協力にも発展して行ける可能性がある。そのためには、災害に特化した関係をつくるよりも、平常時からのつながりが必要で、多面的な協力関係の一つに災害支援もある、ということが望ましいのではないかと考えている。 看護学部がもっている資源、すなわち、人材、知識、技術、また地域とのつながりを、災害時にも活かしていきたい。67
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