周年記念事業・関連企画愛県大 災害弱者対策・支援プロジェクト ハイチは西半球の最貧国で経済・社会的弱者が多い。このハイチで2010年1月、地震が発生し、約31万人という多数の死者が出た。この地震は弱者ほど命の尊厳の危機に晒されやすいことを示した。 この地震に対し、日本は国際緊急援助隊医療チームを派遣した。活動の拠点はレオガン市の看護学校であった。同市にある医療施設は崩壊しており、我々が最初にレオガン市で医療活動を開始した。活動初日、負傷者が診療所に大勢集まってきた。負傷者は地震後6日間も放置されており、重症化し、手術を要する患者もいた。 厳しい活動の中、我々は三つの国際協力を行った。住民と接する立場から、災害時の障害者・高齢者・外国籍住民等に関する現状と課題や、災害時の多言語情報、日頃からの人と人との繋がり、学生への防災教育の重要性などについてご発言いただきました。まず、レオガン市に派遣されていた国連PKOのスリランカ軍との連携。医療活動上、治安の安定は重要であり、我々はスリランカ軍のところに赴き、警備を依頼したところ、司令官は「2004年、スマトラ島沖で地震が発生し、スリランカも被害を受けた。その時一番に日本の医療チームが救援に駆けつけてくれた。今回、恩返しのつもりで、警備ができることを嬉しく思う」と述べ、我々医療チームの警備をしっかり行ってくれた。 次に外国の医療チームとの連携。日本の医療チームはクリニックとしての機能を予定し、手術を行うための医療器材及び全身麻酔薬は携行していなかった。後から来た外国の医療チームの中でこれらを携行しているチームがいたので、手術を要する重症患者はこのチームにお願いした。また、外国の医療チームはレントゲン装置を携行しておらず、外国の医療チームの所に来る患者のレントゲンを我々が担当した。 最後に、現地住民との連携。患者の多くは現地語しか分からない患者が多く、看護学校の生徒が自発的に現地語からフランス語に訳してくれた。 現場での支援のポイントとして、①被災者にしっかりと寄り添うこと、②お互いコミュニケーションをしっかり取ること、③連携・助け合うことが重要。これを実行することで厳しい環境の中でも信頼関係・希望が生まれる。692.特別報告−ハイチ地震の経験から−○ 元駐ブルキナファソ特命全権大使/元国際緊急援助隊医療チーム団長 二石 昌人氏 「自然災害と国際協力」3.現場の声−住民と接する場から−○ 愛知県福祉局福祉部障害福祉課社会参加推進担当 担当課長 坂上 滋泰氏○ 長久手市社会福祉協議会地域福祉係 係長兼ボランティアセンター長 輿石 亮氏○ 愛知県県営住宅自治会連絡協議会 会長/「外国人との共生を考える会」 会長 川部 國弘氏
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