愛知県立大学 新大学誕生10周年・長久手移転20周年記念誌
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Message愛知県公立大学法人 理事長鮎京 正訓 愛知県立大学長久手移転20周年・新大学発足10周年を迎え、この機会に一言ご挨拶を申し上げます。愛知県立大学と愛知県立芸術大学が愛知県公立大学法人のもとに統合され、わたしは三代目の法人理事長として、今日に至っております。 愛知県立大学が久冨木原玲学長のもとで、学生の教育及び研究の進展に向けて、日々奮闘されていることに、常々感銘を深くしています。わたしは、愛知県立大学がより一層の発展を遂げられますことを願うとともに、愛知県公立大学法人としても、県立大学の発展を支えてまいりたいと考えています。 さて、せっかくの機会ですので、少しだけ自分のことを申し上げます。 わたしは、前職は名古屋大学法学研究科の教員をつとめ、アジア法という専門分野を担当し、とりわけ、ベトナム法の研究を行うとともに、アジアからの留学生の受け入れや、アジアの途上国に設立した日本法教育研究センターで法学人材育成に取り組んでまいりました。そして、アジアの中でも、とくにベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、モンゴル、ウズベキスタンなどの法をめぐる研究を行ってきました。 これらの国々に共通するのは、かつては他国による植民地支配を受け、その後、独立国家として新しい国づくりを行ってきたことでした。わたしは、講義を受けた学生たちに宗主国が植民地支配をするとはどういうことか、また、植民地支配をされるとはどういうことか、そして、そのような理不尽な支配をずっと続けることはできない、と語ってきました。 今年、“県大エッセンシャル―多文化社会への新たなまなざし、ウズベキスタン!―”という授業の一コマを担当させていただきました。本来は対面授業で行うところ、新型コロナの関連で、通信でのビデオ講義となりました。一方的な授業だったので、愛知県立大学の学生たちの反応が分かりませんでしたが、この科目の担当者の上川通夫先生が、数日後に学生たちの授業感想文を届けてくださいました。 “教科書上の知識や内容として植民地のことを知ってはいても、その知識だけしかもっていない状態であり、植民地、植民地支配について深く考えたことがなかった”、“植民地支配をすることがかつて世界で優位に立てる称号のようなものであったことは、誇ってはならない歴史である”など、学生たちの真摯な受け止め方を知り、とても嬉しかったし、本学の学生たちを心から誇りに感じました。 周年事業を行うことにより、私たちは、より良い授業や教育を学生にきちんと行うことができているか、を振り返る機会にしていきたい、とあらためて誓った次第です。7愛知県立大学長久手移転20周年・新大学発足10周年を迎えて

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