愛知県立大学 日本文化学部への招待
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[2024年4月]在学生在学生新任教員紹介本橋ゼミでは奈良時代から平安時代に書かれた文学作品の研究をしています。『源氏物語』をはじめとした中古文学を学び、「もののあはれ」を感じられるのがこのゼミの面白さの一つだと思います。具体的な授業内容としては、発表と質疑応答を何度も行います。そして、ゼミ生や先生からのフィードバックを活かして自分の意見を練り上げ、卒業論文として完成させます。一年かけて同じ作品やテーマと向き合い続け、新たな知見を生み出せる喜びは大きいですよ。国語国文学科の授業では、1、2年生から自身で興味のある分野について研究を行うことができます。講義を聞くだけでなく、自分で調査し考察する実践的な学びができ、私は中古文学の基礎研究の授業で前期は『伊勢物語』の初段・四十一段における「紫草」について、後期は『うつほ物語』俊蔭巻における俊蔭の異郷訪問譚について調べました。自身で注釈書や論文を用いて調べることはとても大変ですが、充実した学びを得られる貴重な時間です。他の学生の発表を聞くことで自身の考えを深めることが出来ます。また、講義以外にも大学や学部学科が主催する公開講座にも積極的に参加するようにしています。特に印象的であったのは、十月に開催された古代衣装の復元についての公開講座です。日本古代の宮廷衣装や「深衣」と呼ばれる中国の古代衣装などを文献資料から現代に復元する過程のお話を聞いたり、実際に復元された衣装を着用したりと貴重な体験をさせていただきました。日本語学、特に文体の歴史について専門としています。「日本語」と一言で言っても、細かく見ていくとなんらかの集団や領域によってまとまったことばの特徴が見られます。たとえば、『源氏物語』と『紫式部日記』は作者が同じですから、似ているところはもちろんありますが、『源氏物語』と『蜻蛉日記』の方が使用されていることばが似通っている場合もあります。これらは個々の作品間の関係だけでなく、一定の統一性を持ったまとまりを持つことがあるのです。こうした一定の領域における言語使用の特徴の実態解明をしています。そこにはただ見聞きするだけでは気づけない日本語の特徴があります。そうした点を一緒に探してみましょう。若松ゼミは皆さんが一度は聞いたことがある夏目漱石や太宰治など、近代に活躍した作家の作品を扱います。講義ではゼミ生一人一人が好きな作品を担当し、その作品についての考察をゼミ生全員で議論します。最初は考察を立てるのが難しいかもしれませんが、議論を経て、数々の新たな発見がありますので、自分の考察がどんどん良いものになっていきます。ぜひ我々と共に近代文学を味わいましょう。皆さんにお会いできるのを楽しみにお待ちしております。私は和歌文学に興味関心を持っており、所属している伊藤伸江先生のゼミでは、中世和歌についての勉強をしています。授業は学生が一人二首ずつ和歌を研究して発表し、先生からのご指導をいただくという形で進みます。発表のレジュメづくりは大変ですが、とてもやりがいがあって楽しいです。調査する中で私が特に好きなのは、和歌に使われている句や語彙が、それ以前に詠まれた和歌ではどのように使われていたのかを一つひとつ調べるという作業です。その作業をすることで、当時の言葉のあり方が、現代の私たちにとってのそれとは違うのだとあらためて感じ、言葉は生きているのだとしみじみと思い知ります。また、和歌というとたった三一文字のみの世界だと思われるかもしれませんが、歌人達の人間関係や散文などとも深い繋がりがあり、調べれば調べるほど和歌の世界が広がって面白みが増すところも魅力です。そのため、授業での発表後はやり終えた達成感ももちろんありますが、「もっと調べたかったのに、時間が全然足りなかったな」といつも少し悔しい思いをしているほどです。ゼミ生によるゼミ紹介ゼミ生によるゼミ紹介(復元衣装を試着する御前さん)ゼミ生一同ゼミ生一同(ゼミに参加する若宮さん        :写真中央)原田真梨菜さん原田真梨菜さん7本橋 裕美[国文学/上代・中古文学 物語文学]大川 孔明 [日本語学/文体論 計量言語学 コーパス言語学]御前 凜さん中古文学ゼミ若宮 理紗さん若松 伸哉[国文学/近代文学 小説・評論]近現代文学ゼミ日本語学ゼミ

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