愛知県立大学 学報 2019 vol.4
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 〝あいち国文の会〟の発端は、野崎が、退職後も研究会を続けたいと同僚の小谷成子氏に呼びかけての個人的な思いが働いてのことでしたが、時は恰も日本の大学に法人化の波がおし寄せて、人員削減をはじめ学科の存続も危ぶまれる時期にあたり、国文学科の教員・同窓生は先を憂え、この荒波に耐えて萎縮することなく、国文学を楽しみ、研究できる場を確保しようと努めたのです。そして最新の研究成果を一般の文学愛好家にも及ぼし、知的な刺激を受けて生涯の勉強を始めるきっかけとなり、それが生きがいとなればすばらしいことと思ったものでした。 記念すべきものを挙げれば、第一回高木史人氏(名古屋経済大)「犬山周辺の伝承をめぐって」(平成一二(2000)年九月六日)第五〇回四辻秀紀氏(徳川美術館学芸員)「王朝の貴人の美意識―源氏物語絵巻を中心に―」(平成一七年(2005)三月九日)第一〇〇回島津忠夫氏(大阪大学名誉教授)「日本文学―作品の成立と諸伝本―」(平成二一年(2009)九月九日)第一五〇回荒木浩氏(国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授)「古典の中の〈世界〉/世界の中の〈古典〉―土左日記・源氏物語・今昔物語集をめぐって―」(平成二六年(2014)五月二八日)第二〇〇回安藤靖彦氏(愛知県立大学名誉教授)「明治の〝死〟―漱石「こゝろ」のこと、など―」(令和元年(2019)六月一九日)(以上の肩書きは当時のもの) これまで、会員資格も問わず、会費もなく、国文学ファンならだれでもというオープンな姿勢が広く支持を得て、地域住民の積極的な参加もあり、平成一九年には会誌〝あいち国文〟第一号を発刊し、現在は一三号(令和元年九月刊行予定)を編集中です。 〝あいち国文の会〟の将来について、あと何回まで続けられるものか、出来る限り続けたいと思う一方で、いつでも終えることが出来る自由も持っています。しかし、やはり、その将来は、会を支えていただいている一人一人の思いに懸かっていると思っております。「あいち国文の会」二〇〇回を迎えて-野崎典子(愛知県立大学名誉教授)-|MEMO|記念すべき200回目を迎えられたことは、いかにあいち国文の会が地域の人々に愛されているかを表していると思います。今後も活動を続け、250回、300回と続き、国文学研究がさらに盛り上がっていくことを期待します。|地域と大学|8

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