愛知県立大学 学報 2019 vol.4
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 緑の風の吹き抜ける長久手キャンパスは、かつては広大な県有林でした。50年程前には、グラウンドやテニスコート、体育館などがまず設置され、瑞穂区高田町の旧キャンパスからスクールバスに乗って学生たちが体育の授業に通っていたのも、つい昨日のことのように思い出されます。 県立女子大から県立大学への転換の背景には、県立芸術大学の誕生のいきさつも見えてきます。今や同じ公立大学法人のもとにある2つの大学は、もともと双子のような縁にあったようなのです。 さて、「その2」で、すでにお話したように、全学同窓会の前身の1つとも言える「和風会」は、県立大学になってからは解散を余儀なくされていました。1966年からは、男子がキャンパスをのし歩くように大学の風景が一変します。いわゆるベビーブーマーが大学進学率を押し上げ、県立大学の男女共学化もその流れからの必然だったのでしょう。学生自治会を中心とする学生運動も高揚し、「立て看」が林立し、学生集会が頻繁に持たれ、全学ストライキやバリケード封鎖もありました。そういう空気の中で、学生たちが、クラス合宿したり、サークル活動の拠点にしたりしたのが、和風館であり和風室でした。当時の在学生にとって、おそらく最も思い出深い場所でしょう。「和風会」はなくなっていたけれど、初代学長髙木市之助の命名による「和風」は、瓦葺き平屋の「和風館」と、講堂地下の和室「和風室」に、その名をとどめ、青春の日々の貴重な一齣となっています。 時代は回り1995年、全学同窓会が結成されることになります。1970年代を中心とした顔触れが、開学50周年を前に懐かしいキャンパスで再会しました。すぐ分かる先輩もいれば、貫禄がつきすぎてまるで別人のような後輩もいます。さあ、どうなることでしょうか。|MEMO|長久手キャンパスに移転したり、新しい愛知県立大学が誕生したり、大きな変化がありました。今回のコラムで、愛知県立大学の伝統は綿々と受け継がれていることがわかりました。これからも、これまでの本学の歴史を大切に、新しい世代へと引き継いでいきたいですね。|コラム|9樹影譚~同窓会のコト~その4愛知県立大学全学同窓会 会長 山下達治こかげものがたり長久手運動場の建設(現・長久手キャンパス)体育授業で長久手に向かう

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