愛知県立大学 学報 2019 vol.4
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|特集| 周年記念事業特別企画鼎談時代の変化とともに、大学に求められる事が変わってきています。その一つに大学のブランド力の強化があります。文部科学省においても平成28年度から、大学ブランディング事業に補助金を出すなどして、特色ある大学づくりを支援しています。このような時代の流れの中、今後、愛知県立大学の特色・ブランド力を今まで以上に発信していくことが必要だと感じています。その一環として、本日は百瀬由美子副学長(看護学部)と小栗宏次教授(情報科学部)の鼎談を企画しました。両先生には現在の研究成果および地域貢献、また今後の本学に期待される教育、学部間連携による異分野による複合的な研究なども含めて、本学の将来について語っていただきたいと思います。 今回、両先生にお話を伺うことにしましたのは、今年、愛知県立看護大学と愛知県立大学が共に新県立大学を設立して10周年を迎えるからです。両先生は、それぞれ守山キャンパス(看護学部)と長久手キャンパス(外国語学部など4学部)の代表ということになります。小栗先生の場合は、情報科学部設立・長久手キャンパス移転20周年という節目という意味合いも含めてお願いしました。 (久冨木原)久冨木原 ところで、このたび小栗先生は[愛県大オリジナルあまざけ「愛riche(あいりっしゅ)」]を開発されました。本学初のオリジナルグッズの誕生をたいへん嬉しく思っております。早速ですが、小栗先生、「愛riche」は、どのような研究から生まれたのでしょうか?小栗 小栗研究室では、これまで産学連携研究活動に積極的に参加してきています。2016年に始まった、愛知県による「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅡ」において、「シンクロトロン光の清酒製造プロセスへの活用」に関する研究が採択されました。このプロジェクトでは、あいち産業科学技術総合センター(食品工業技術センター)と連携して実施しました。この研究により2018年にはシンクロトロン光を酵母育種に応用することで、香気成分の一つで、華やかな香りを特徴とする酢酸イソアミルを多く生産する吟醸酒用の新しい清酒酵母を、全国で初めて開発しました。そして、この技術により「愛してる2019」の製造に成功、これまでにない芳醇な香りの日本酒が完成しました。さらに、この酒粕と米麹を利用したダブル発酵によるアルコールゼロのハイブリッド甘酒「愛riche」の開発にも成功したのです。久冨木原 「愛riche」に使われている酒粕の「香気成分」というのは、この『学報』の表紙を飾る「モッコウバラ」から抽出したものなのですね。この「モッコウバラ」は、愛知県半田市の天然記念物に指定されている樹木ですが、私も今年初めて、満開の花を堪能しました。ところで、甘酒は一般に、その成分から「飲む点滴」「飲む美容液」

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