愛知県立大学 学報 2019 vol.4
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調査を計画しているところです。引き続き、異文化理解に基づく良質な多言語医療通訳提供システムや教育プログラムの開発に関わっていければと考えています。久冨木原 両先生の研究は「いのち」に深くかかわり、また異分野との協働によって、これからさまざまな可能性が花開いていくことを予感させます。大学の特色やブランド力というのは、こうした地域に根ざした研究や連携によって培われていくのだと思います。今後も、種々の専門分野間で、このような対話を続けて、相互に刺激を受けていけたらと願っています。|特集・周年記念事業特別企画鼎談|21960年生まれ名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程修了 工学博士専門分野:生体工学、知的情報処理1998年~:愛知県立大学情報科学部教授 1999年~2000年:ドイツ連邦ミュンヘン大学訪問教授 2013年~:東京大学生産技術研究所リサーチフェロー 2014年~:名古屋大学未来社会創造機構客員教授 2015年~:情報科学共同研究所所長 2016年~2019年:知の拠点あいち重点研究プロジェクト研究リーダー、研究活動に加え、愛知のオピニオンリーダーとして各種審議会委員長等も歴任。情報科学部教授小栗宏次長野県看護大学大学院看護学研究科博士後期課程修了 看護学博士専門分野:老年看護学愛知県がんセンター病院病棟勤務看護師、松本市訪問看護師等を経て大学教員となり、2005年信州大学医学部保健学科から愛知県立看護大学老年看護学教授に着任。看護教育研究長、大学統合後は新愛知県立大学学術研究情報副センター長、看護学部長を歴任。副学長/看護学部教授百瀬 由美子愛知県立大学学長久冨木原 玲1951年生まれ東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学 博士(文学)専門分野:日本古代文学(源氏物語)、日本韻文史2006年~:愛知県立大学文学部教授 2009年~:同日本文化学部教授 2013年~:同日本文化学部長 2016年:ブラジル・サンパウロ大学大学院客員教授2018年4月愛知県立大学で女性初の学長に就任。道路交通システム)に関する研究を進めてきています。その一部は、地元企業との産学連携により進められ、これまでに30を超える国内外での特許申請に至っています。これらの成果は、自動車の安全システムの一部として実用化されています。愛知県は交通事故死者数が、16年連続で国内最多となっていますが、こうした1つ1つの安全技術開発が、やがて汚名返上につながると信じています。久冨木原 その汚名は、何とか返上したいものですね。先生の研究成果は、現在、「知の拠点」から情報科学部棟に移されていると聞きました。ぜひ、学内外の方々も見学できるようにしていただけたらと思います。そういえば、今年6月には、NHK番組「まるっと!」(18:10~19:00)で生中継されていましたね。今後も、オープン・キャンパスや大学祭などには、ぜひ公開していただければ、と思っています。先ほどの百瀬先生の研究も、この交通事故にかかわる小栗先生の研究も、本学のビジョンである「いのち」の尊さに寄与する研究に適うものです。また私は学部間連携による研究・教育を推進していこうと考えておりますが、両先生は今まで、あるいは、これから、異分野との研究について、どのようなプランをお持ちでしょうか? 簡単にお聞かせいただければ幸いです。小栗 私の研究は、人に関連する様々なデータを解析することで、その中に潜む意味のある情報を抽出することにあります。つまり、“人の状態の見える化技術”とも言えます。これまでに、医療の現場や、自動車交通の現場への応用を進めてきましたが、今回、食品分野への挑戦をすることで「愛riche」の開発にもつながりました。色々な分野にこうしたデータ解析技術を応用していくことで、さらに新しい可能性が見出せるのではないかと思っています。百瀬 異分野との共同研究については、愛知県立芸術大学美術学部と本学情報科学部の先生とで障害をもつ高齢者の安心・安全かつ効率的な移動介助技術と補助具の開発に取り組んだことがあります。今後は、愛知県が外国人住民の数が全国第2位であり、法律の改正により今後も外国人が急増する状況に伴い、医療通訳のニーズが更に高まることが予想されます。外国語学部の先生方を中心に愛知県の関連部署とも連携して実態

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