愛知県立大学 学報 2023 vol.12
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理事長インタビュー5もっと顔の見える大学に久冨木原学長 長く産業界でご活躍されてこられましたが、理事長として愛県大をどのようにしていきたいとお考えですか?古川理事長 そうですね、まず、なぜ私に理事長の話が来たかを考えてみました。きっと、自分のように大学とは全く縁のなかった人間が理事長に就任することで、何かしら変化を起こすことを期待されているのだろうなと理解しています。久冨木原学長 その通りだと思います。古川理事長 愛県大は真面目な公立大学というイメージですが、私は愛県大をもっと顔の見える大学にしたい。愛県大はこういうことをやっている大学で、こういう学生や教職員が学び働いている大学だと言えるようにしたいと思っています。愛県大にはすでにその種がたくさんあって、人文学系や看護系、情報系の学びもある。スタートアップのような取組があり、留学に行く学生や留学生も多く、隣には県芸大があり、公立大学として愛知県との連携もあれば、産業界ともつながりがある。多様性のかたまりそのものです。これをうまくつないでいくと、大変面白いものができる。しかも、そういうものこそこれからの時代の要請にマッチしていくものになるのだと思います。これまでの愛県大の伝統や文化を尊重しながらも、一方でスピード感を持ってやっていかないと、変わっていくのは難しいと思う。そこを動かしていくのが私の役割だと思っています。愛県大は、産学官連携の要素を全部兼ね備えている。うまくつなぎ合わせていけば怖いものなんてないよね。久冨木原学長 そうなのです。産学官連携の環境がこれ4学生自主企画の公開審査に参加して久冨木原学長 先日、学生自主企画の公開二次審査をご覧になった感想をお聞かせいただけますか?古川理事長 学生の皆さん、ほんとに頑張っているなと2入代理店の人はみんなフランス人で、自分1人だけがトヨタからの日本人駐在員であるという環境でした。当時の日本人は「フランス人は大変誇り高くて、上から目線でものを言う」というイメージを持っていたけれど、実際接してみると人それぞれで、そういう人もいるし、そうじゃない人もいる。久冨木原学長 それはどのような人にも起こりうる場面ですね。国籍や人種は関係ありません。古川理事長 そうなのです。そこでバイアスをかけてしまうと、溶け込めない。バイアスを取り払うと、人と人とはどこでも同じなのです。当時思った事は違いというのは“ナショナリティーではなくてパーソナリティー”によるのだということです。だから私は彼らのことを「外国人」だとは思っていない。私は日本人で、あなたはベルギー人で、あなたはフランス人。ただそれだけでしょ。2000年代に入りヨーロッパの販売統括会社の社長に就任すると大勢の欧米の人達が部下になり直接指示する機会も増えました。欧州を統括する社長が目の前の人を「日本人と外国人」と考えた途端、そこには溝ができてしまう。それでは一丸となって仕事はできない。そのようなことを、身を以て経験できた。今の若い世代は、ひょっとすると、そのように意識することは少ないかもしれませんね。それでも日本人以外の方々と接するときに、「日本人と外国人」というようなバイアスは持たずにコミュニケーションを取れるようになってほしいと思います。久冨木原学長 本当にそのとおりです。古川理事長 こういうことが肌でわかるようになるには、やはり経験が必要だと思います。自分自身で垣根を作らない。久冨木原学長 現地に飛び込み、困難を経験することで成長していく環境にいらっしゃったのですね。古川理事長 本当に恵まれた環境でした。現在は情報が満ちていて、困難は避けようと思えば避けられるけれど、ぜひ飛び込んでいくというマインドを持って欲しいと考えています。久冨木原学長 そのような挑戦と経験ができる環境を、この大学で私達教職員がどうやってつくりあげていけるのか、一緒に考えていきたいと願っております。▲1979年のブラッセルにて、秘書の皆さんとの懇親会の帰り道いう印象を持ちました。まず、忙しい学生生活の中、授業以外のところで自分たちで問題意識を持って考えて行動するということが素晴らしい。「自ら考え、自ら学び、自ら行動」といいますが、この言葉は言うのは簡単だけど実践するのはなかなかに難しいもの。学生自主企画は、自ら問題意識を持ち、自ら考え学び行動する機会や経験を得るには絶好の制度ですね。あのような制度があって、長く続いているのも愛県大の良い所の1つですね。久冨木原学長 サークル活動もいいですが、ああいう探究型活動もいいですよね。私はグループで取り組むのも良い点だと考えます。勉強は1人でやることが多いので、グループでディスカッションをしたり、分担をしたりすることがより深い学びにつながります。学生自主企画 学生が自主的に企画した研究プロジェクトを公募し、審査を経て採択されたものに対して研究資金を助成する制度。1年の終わりに成果発表会を開催し、グループの研究・調査成果を学内で競います。学生自主企画の公開二次審査に参加する古川理事長学生自主企画とは

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