愛知県立大学 学報 2024 vol.14
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学生・教員の活躍教員Pick up!33337 2022年に国際文化研究科にコミュニティ通訳学コースが開設された機に着任しました。「通訳」という営為に実践・研究・教育の側面から取り組んでいます。「通訳」の醍醐味は異言語・文化の人々を繋ぐ「架け橋」となることです。しかし、通訳者が直接のコミュニケーションを妨げる「壁」になったり、通訳ユーザーがスティグマ化されたり、不可視だった「境界」が可視化されたりする現象も生じるのです。そして、円滑な通訳のためには、母語並みの2言語運用能力に加えて、社会文化・専門知識、そして通訳スキルが必要です。原発話を理解し、解釈して、文脈に適切に訳出します。A言語をB言語に置き換えるだけではないのです。異なるコンテクスト背景の相手との異文化コミュニケーションを学ぶことでもあります。最後に、「通訳」と言って、通訳者を指すことがありますが、人のことは「通訳者」と呼んでほしいと思います。 臨床で看護師・助産師として勤務した後、大学の教員になりました。看護師・助産師の教育に関する研究の他に看護史の研究に取り組んでいます。叔母とその友人たちから「広島での被爆者救護・看護の体験を原爆使用の抑止力となるように英語で発表してほしい」とのリクエストがあり、今思えばかなり無茶をしたなと思いますが、シドニー大学の博士論文のテーマとして取り組みました。戦争に関連する研究ですので、学会発表での聞き手の反応は国や立場で全く違います。心が折れることもありますが、大変興味をもってくださる方もおり、今後も体験された先輩方の要望に応えるべく英語での発表を続けたいと思っています。 また、メルボルン大学に勤務する友人と、日露戦争時に来日し日本人の看護を行ったアメリカ人女医と看護師の研究にも取り組んでいます。日本の史料は私が、イギリスやアメリカの史料は友人が収集します。コロナ禍でオンラインによるコミュニケーションが普及したことや翻訳アプリの目覚ましい発展のおかげで、年々低下する英語力でも共同研究を続けられています。▲ スペイン大使館 観光参事官 ハイメ・アレハンドレ氏講演の通訳▲ 吉田理加先生(写真1番右)とグローバルセミナーで発表した学生▲ 看護学部生とACU メルボルン校にて日西会議・司法・医療通訳者、立教大学異文化コミュニケーション博士後期課程修了(博士:異文化コミュニケーション学)シドニー大学にてPhDを修得。広島大学、自治医科大学、岐阜大学を経て2016年4月に本学看護学部に着任。外国語学部ヨーロッパ学科スペイン語・ポルトガル語圏専攻 吉田理加先生看護学部看護学科 大原良子先生

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