秋田県立大学広報誌 イスナ Vol.19
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毎号テーマに沿って、大学に携わる人の“瞬間”をお届けするコラム。今回のテーマは「お勧めの一冊」。瞬間風速 この文章は、Mark Twainの書いたAdventures of Huckleberry Finnが多読用(多読の意味については後述)に書き直されたHuckleberry Finn(Oxford Bookworms Library. Stage 2)という本を、読んでみようよというお誘いである。若い人たちには、この本を読んだ後に振り返って主人公のハックの内面の変化について考えてほしいと思う。最初、ハックは自分のためだけに川下りを始める。だが途中でジムと合流し、ジムが連れ去られてからは、危険を冒してジムを助けに行く。この最初と最後の間のどこかに、ハックが自分中心に生きていた時期と、危険を冒してまで人のために生きるようになった時期の転換点があるはずである。どこで内面的に変化するか?答えは読んで見つけてほしい。 英文多読は、原則的に1分間に100語から200語の速度で読むことなので、6180語のこの本は、30分から1時間で読むべきものである。多読は英語力の向上に大変効果がある。英文の多読とは何か?ある先生にこの質問をしたら、「沢山読むことでしょ?」という返事が返ってきて笑ってしまった。正解は、易しい本を、楽しく、速く読むことである。多読を毎日継続すれば、必ず英語ができるようになる。多読をするには、自分の実際の英語レベルよりも数段低いものから始めなくてはいけない。知らない単語が多く出てくると、読むという行為ではなくて、暗号解読という行為になってしまうからである。もしもこの速度で読めないならば、ためらわずにこの本よりも二段階下のStarterレベルの本から読み始めるべきである。ハックルベリー・フィンを英語で読んでみないか木材高度加工研究所岡崎 泰男 准教授総合科学教育研究センター高橋 守 教授 今回、実は色々と迷ったのですが、「あまり読書の習慣がない方でも手に取りやすい本」という観点でこちらの本を選ばせていただきました。 作者の浅葉なつ氏は、2011年に『空をサカナが泳ぐ頃』でデビュー、内容はともかく、そのパワフルな文章に注目していた作家さんで、その5作品目として発行されたのが本書『神様の御用人』です。この物語の世界の中の神様は、神様に感謝を捧げず自分勝手な願い事ばかりする人間が増えたことによってその力が弱まり、自分の力では解決できない様々な悩み・願いを抱えています。そんな神様の御用聞き役(御用人)に選ばれた主人公と、神を見ることができる眼を持つ娘が、神々の願いをかなえていく中でともに成長していく姿が描かれていきます。「心の中で涙を流している友人を力づけたい」、「大切な人を守りたい」、「自分が感謝されていることを実感したい」、「出会った頃の様に語り合いたい」、「自分の存在を忘れないで欲しい」といった、人が年齢を重ねていく中で心の中に抱いても口には出しにくい願望にまつわる話を、「(とてもユーモラスな)神様の願いをかなえる」という形で表現することにより、肩の力を抜いて読むことができる作品になっています。 読書というと高尚な文学作品を読まなければならないと思われがちですが、そのようなことはありません。読書の苦手な方は、まず肩肘をはらずに読める本書のような作品から初めてみてはいかがでしょうか。神様の御用人(1~6) 浅葉 なつ 発行◎公立大学法人 秋田県立大学 ◎〒010-0195 秋田市下新城中野字街道端西241-438 TEL.018-872-1500 FAX.018-872-1670秋田県立大学広報誌[イスナ]第19号 発行日◎平成28年10月http://www.akita-pu.ac.jp/E-mail:koho_akita@akita-pu.ac.jptwitter:@Akita_P_U秋田キャンパス ♦本部♦生物資源科学部♦大学院/生物資源科学研究科〒010-0195 秋田県秋田市下新城中野字街道端西241-438 TEL.018-872-1500 FAX.018-872-1670本荘キャンパス ♦システム科学技術学部♦大学院/システム科学技術研究科〒015-0055 秋田県由利本荘市土谷字海老ノ口84-4 TEL.0184-27-2000 FAX.0184-27-2180大潟キャンパス ♦生物資源科学部(アグリビジネス学科3・4年次)〒010-0444 秋田県南秋田郡大潟村字南2-2 TEL.0185-45-2026 FAX.0185-45-2377木材高度加工研究所〒016-0876 秋田県能代市字海詠坂11-1 TEL.0185-52-6900 FAX.0185-52-6924「イスナ」というタイトルは、「良いですね」という意味の秋田弁をベースにしています。これからも人材育成・研究開発を通して、地域社会の発展に貢献できるような「良い」ことを発信していきます。

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